名作『悪魔のいけにえ』。レザーフェイスが殺人鬼として覚醒する、その瞬間を見せていく。
非常に魅力的なコンテンツではあるが、甘い媚薬だけに手を出すのは危険なのだ。
名作映画のハードルは非常に険しく高いのである。
『レザーフェイス‐悪魔のいけにえ』 レザーフェイスの少年時代を描くのは魅力的だが、 名作『悪魔のいけにえ』を扱うのはハードルが高い。 監督:ジュリアン・モーリー,アレクサンドル・バスティロ 主演:スティーヴン・ドーフ,リリー・テイラー,フィン・ジョーンズ |
名作ホラー映画『悪魔のいけにえ』の殺人鬼レザーフェイスの少年時代を描いた作品。
殺人鬼レザーフェイスの少年時代の凄惨な出来事が描かれる。
監督は『屋敷女』などのフランス人コンビ、ジュリアン・モーリーとアレクサンドル・バスティロ。
出演はドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』などのフィン・ジョーンズ、『ブレイド』などのスティーヴン・ドーフ、『死霊館』のリリ・テイラーらが出演。
2017年製作/89分/R18+/アメリカ
原題:Leatherface
配給:松竹メディア事業部
ソーヤー家の三男であるジェドは、5歳の誕生日にチェーンソーをプレゼントされる。
その後、農場で少女の変死体が見つかって、彼は更生施設へ送られるのだ。
10年後、施設の患者仲間に強要されて看護師を誘拐。施設を脱走したジェドは破滅的な逃避行を繰り広げる。
そして脱走した彼らを、かつてソーヤー農場で殺された少女の父親であるハートマン保安官が追跡する。
名作『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスの少年時代を描いた作品で、いかに彼が殺人鬼として覚醒するのか、そのルーツを追いかけることが出来る。
いくら仮面を被っているからと言っても、本作のジェドが大人になったら、あんな感じに変貌するとは到底思えない。
少年時代を描いたものではあるが、1974年に作られた映画を基に2017年の技術でエピソードを綴るわけだから、少年時代の方がどうしたって色々とクオリティーを上げることが出来るはずである。
しかし何故か、1974年に作られた40年も前の『悪魔のいけにえ』の方がインパクトがあるのだろうか。
ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』でも、それ以前を描いたエピソードとして『遊星からの物体X ファーストコンタクト』という作品が約30年ぶりに映画化されたが、不思議と30年前の作品の方がインパクトが強かった。
何故か技術やクオリティーが上がった現代でリメイクしたものよりも、数十年前の映画の方がインパクトがあるのか。確かに名作ものをリメイクするわけだから本家には敵わない。
例えば、ブルース・リーの映画を現代でリメイクしてCGを使ってアクションをしたところで、生身のカラダでアクションをしていたブルース・リーのインパクトには敵わないのだ。
物語は悪くないしツマラナイわけでもないが、レザーフェイスの少年時代を描いているという先入観は「かなりハードルが高い」のだ。
そこそこ面白いんだけども、その先入観は大きな障害である。
あとはグロ表現に慣れてしまっている自分がいる。チェンソーでカラダを切り刻もうが何とも思わないのである。残酷表現は映画の歴史の中で多岐に渡る手法で散々作られてきた。もちろん僕なんか全然それらの作品を観ていないが、その僕でさえ残酷表現に慣れてしまっている。でもこの映画の見せどころと言えば残酷表現に他ならない。
どれだけ残酷表現に慣れてしまっても、1974年に作られた『悪魔のいけにえ』でのチェンソーを持って追いかけてくるシーンにモーレツに心打たれるのは何故だろう。
そこそこ面白い作品ではあるが、偉大なる映画『悪魔のいけにえ』のインパクトが強すぎて、どうしても比較してしまうのである。ということで、「カット、カット」。
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