新海誠監督作品を手がけるコミックス・ウェーブ・フィルムの中国を舞台にしたオムニバスアニメ作品。
『詩季織々』 美しい中国の情景は素晴らしいが、 それ以外の面白味はない。 監督:リ・ハオリン、イシャオシン、竹内良貴 出演:坂泰斗、伊瀬茉莉也 |
『君の名は。』など新海誠監督作品で知られるアニメーション制作スタジオ、コミックス・ウェーブ・フィルムが手がけた日本・中国の3人の若手クリエイターが監督を務めたオムニバスアニメ。
中国のアニメ業界を牽引するブランド「ハオライナーズ」の代表を務めるリ・ハオリンが総監督。
中国の暮らしの基本となる「衣食住行」を共通テーマにして、大切な思い出を抱えながら大人になった若者たちの過去と現在を紡いでいく作品である。
1作品目は、『ストームブレイカーズ 妖魔大戦』などの実写作品を手がけてきたイ・シャオシン監督が自身の思い出をノスタルジックにつづった『陽だまりの朝食』。
2作品目は、新海監督作品のCGチーフとして、長年にわたって支え続けてきた竹内良貴の劇場公開初監督作『小さなファッションショー』。
3作品目は、ハオリン監督が『秒速5センチメートル』にオマージュを捧げた『上海恋』。
2018年製作/74分/G/日本
配給:東京テアトル
『陽だまりの朝食』
【テーマ:食】
北京で働く青年シャオミンは、故郷である湖南省での日々を思い出す。
祖母と過ごした田舎での暮らしや通学路で感じた恋の気配や学校での出来事などの子供時代の思い出のそばには、いつも温かくて心のこもったビーフンの懐かしい味があった。
そんな中でシャオミンの祖母が体調を崩したとの電話が入る・・・。
『小さなファッションショー』
【テーマ:衣】
広州の姉妹、人気モデルのイリンと専門学校生のルル。
幼くして両親を亡くした二人は共に助け合って一緒に暮らしていた。
だが、公私ともに様々な事がうまくいかなくなってきたイリンはついルルに八つ当たりしてしまって、二人の間には溝が出来て大喧嘩をしてしまった。
『上海恋』
【テーマ:住】
1990年代の上海。
石庫門(せきこもん)に住むリモは幼馴染のシャオユに淡い想いを抱きながら、いつも一緒に過ごしていた が、リモが石庫門から出ていくことで、お互いの距離と気持ちが離れてしまう。
そして現代で、社会人になったリモは、引っ越しの荷物の中に持っているはずのないシャオユとの思い出の品を見つける・・・。
中国の監督や中国を舞台にしている作品なので、中国の描き方は間違いないだろうと思うのだが、どうしても日本人の物語に見えて仕方ない。やはり日本語で物語を語れることと、新海誠イズムが流れている作品なので、日本人の物語に見えてしまうのだ。
また詩的な物語で、切なくて奥ゆかしい感じは、まさに日本人の気質に思える。僕の勘違いで、単なる僕のイメージなのかもしれないが、中国の方はもっと豪快でハッキリとモノを言う人たちであると思うのだが、どうだろう。
『陽だまりの朝食』では忘れられない食卓の味がビーフンであったが、「ビーフンって・・・笑」ないわ~、と僕の感覚では思ってしまうが中国の方が観ると共感出来るのだろうか。イ・シャオシン監督の思い出を描いた作品なので、「ビーフンをなめんな!」と怒られてしまいそうだが、逆に「思い出の肉じゃが」では中国の方に笑われてしまうのだろうか。
想像はしていたが、特に胸を打たれるわけでもなく、面白味には欠ける。
新海誠作品での「美しい日本の情景」を中国を舞台にして「美しい中国の情景」を観れることに価値があるかもしれないが、それ以外は特に何も感じないといったところで、「カット、カット」。
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