STUDIO4℃が作ったアニメ映画を観る。ジブリや新海誠監督とは違った表現の美しさに息を呑む。
『海獣の子供』 映像は申し分なく美しいが、 物語は抽象度が高く少し難しい。 監督:渡辺歩 出演:芦田愛菜 石橋陽彩 浦上晟周 |
『リトル・フォレスト』『魔女』の漫画家・五十嵐大介の、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞や日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した名作コミック『海獣の子供』をアニメ映画化。
『鉄コン筋クリート』のSTUDIO4℃がアニメーション制作、映画『ドラえもん』『宇宙兄弟』などを手がけてきた渡辺歩が監督を務めて、音楽を久石譲が担当。
声の出演は芦田愛菜、ピクサーアニメ『リメンバー・ミー』の吹き替えを務めた石橋陽彩など。
2019年製作/111分/G/日本
配給:東宝映像事業部
自分の気持ちをうまく言葉にできない中学生の琉花は、夏休みの初日に部活でトラブルを起こして居場所を失ってしまう。
彼女が父親が働く水族館を訪ねてみると、ジュゴンに育てられたという不思議な少年・海とその兄・空と出会い、彼らを通じて見たことのない世界に触れていく。
同じ頃に、海の生き物たちが日本へ移動し始めるなど、地球上でさまざまな異変が始まっていた。
映像に関しては申し分ない。本当に美しい。息を呑むほどの技術である。
しかし物語的には抽象度が高く、大雑把には理解出来るが少し難しい。
元々、理解しやすく作ろうとしていないのかもしれない。テーマが「生命」や「誕生」であるならば、抽象的な表現にならざるを得ないのかもしれない。
ジュゴンに育てられた少年という設定そのものが不思議なものであるために、説明のしようがないという点もあるだろう。
例えば「宇宙の神秘」というものをテーマに作品を作ったとしたら、抽象度が高くなるのは否めない。単純に物語を構成して、誰もが理解出来るものにするのは逆にツマラナイものになりかねない。
本作は漫画原作をアニメ映画化したらしいのだが、漫画原作を読めば物語が理解しやすくなるのだろうか。
作り手が漫画原作を理解して、その物語を違ったコンテンツで第三者に発信する時、更に細かな詳細は省かれて抽象化されるわけだから、アニメ映画で全体像を把握することは出来ても、物語の細かな流れを優しく理解するのは多少難しくなる。
小説を映画化した時なども同様で、「あの心理的描写がなかった」「あのシーンがカットされていた」など、二時間の枠に収める映画となれば、そういった事は必然的に出てくるものだ。
連続アニメとかになると、原作では描かれていない物語などをプラスされることもあるが。
物語が複雑なわけではないのだが抽象度が高く少し難しいが、映像は申し分なく美しい映画であるといったところで、「カット、カット」。
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