ついに「ゴジラ」シリーズ10作目。1969年の作品である。今から50年も前の作品だなんて。
『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 』 ミニラが日本語を喋る! 少年とミニラの友情作品。 監督:本多猪四郎 出演:矢崎知紀 佐原健二 天本英世 |
『緯度0大作戦』の関沢新一が脚本、本多猪四郎が監督を務める。
特技監督は円谷英二、撮影は富岡素敬。
1969年製作/69分/日本
配給:東宝
一郎は、夢の中で怪獣たちが集う怪獣ランドに行くことを楽しみにしていたが、現実世界ではガバラというあだ名のガキ大将にイジメられていた。
一郎のお気に入りは、ゴジラの息子ミニラだった。
ところがその夢の中にも、ガバラのような怪獣が現れる・・・。
う~む、「ゴジラ」シリーズも10作目とあって、ネタ切れか?という感じであった。
色んなゴジラ作品を通して全体を見れば「これはこれでアリ」ということになるが、「ゴジラ」を観たことがなく初見で本作を観たとしたら、「これがゴジラか」と誤解される作品である。
本作は思いきり子供向けに照準を合わせて作られていて、一人の少年が中心として物語が描かれている。
少年の夢や妄想の中で怪獣島に訪れて、ゴジラやミニラを目撃するのだ。
本作で一番笑ったのは、例え妄想の中だとはいえ、ミニラが人間の言葉を発して日本語で少年と会話することだ。
「ついに喋ったよ、ミニラちゃん!」と僕は声を上げて笑った。
しかも少年と同じサイズで現れたので、もう何が何だかわからない。
それにしてもミニラが可愛くて、僕はミニラが登場すると嬉しいし、僕もミニラと友達になりたいのだ。
怪獣島での妄想と同時進行で、現実世界では二人組の銀行強盗犯が逃亡している物語が展開されていく。
ミニラの「怪獣としての成長」と、いじめられっ子である「少年の成長」が描かれており、少年は怪獣島での出来事を体験することによって男の子として強くなっていくのだ。
ガバラというケタケタ笑ったような怪獣が現れて、ゴジラやミニラと対決をする。ミニラとの対決に至っては、大人と子供、ガバラがミニラをいじめているだけの構図である。
ミニラは逃げ出してゴジラの元へ駆けつけるが、何と「ゴジラに蹴飛ばされてしまう」のだ。ゴジラはミニラに蹴りを入れながら、「ガバラと戦って来い」と追い返す。スパルタ教育である。ゴジラ自身がガバラに対して劣勢であったにも関わらず、ミニラに戦わせるのか?
ミニラは少年の協力もあってガバラを追い詰めていく。ゴジラも現れてガバラをボッコボコにするが、なかなかの長尺で怪獣対決が行われるのだ。
よっぽど物語が持たないのではないか?と思った。
1時間10分という短い映画の中で、なかなかの長尺での怪獣対決。
途中、少年に対して「ヤバイぞ、こいつ」と思った。人間の操縦する飛行機がゴジラに攻撃を仕掛けてくるのだが、ゴジラは飛行機に攻撃をして飛行機は爆破。その時、ゴジラの味方である少年は「やったあ!!」と喜ぶ。飛行機を操縦していた人間が何名か怪獣によって命を落としたのに、少年は大喜びしていたのだ。
そんなこんながあってラスト、少年はいじめっ子と対峙してぶつかっていく。素晴らしい。少年はひとつの物語を通して、強く成長したのだ。
それからドタバタ劇が展開されて、「やったぜ!ベイビー!」と少年たちは飛び上がる。一体、僕は何を見せられているのだろうか。
しかし少年の妄想とはいえ、ミニラが「日本語を喋った」ことは最高に面白かったといったところで、「カット、カット」。
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