第一巻の冒頭、扉ページを開いたら両面見開きで「少女の目からハサミの刃」が飛び出しているという衝撃的な最高のカットに、楳図かずお先生の天才さに感動した。
楳図かずお作品で過去に読んだことがあったのは、『漂流教室』と『まことちゃん』ぐらい。その二作ともメチャクチャ面白かったのだが、他の作品を読むことがなかった。
今回、楳図かずお作品を久しぶりに読みたくなり、『神の左手悪魔の右手』を全巻購入した。
『神の左手悪魔の右手』
楳図かずお |
全体を通して、その発想力に驚かされる。
「何で、こんなことが思いつくのか?」の連続で、また楳図かずお先生の画風が、その発想をより魅力的なものに仕上げている。
楳図かずお先生の残酷表現も見どころで面白いのだが、出てくる登場人物の奇怪さにも笑わせてくれる。
『錆びたハサミ』という物語では、大雨降る中の夜中0時に、主人公の少年「想(そう)」と、その姉「泉(いずみ)」の部屋がある二階の部屋を覗き込む泉の同級生の「法子(のりこ)」という超絶に不気味な少女が登場する。
夜中0時に大雨が激しいからカーテンを開けたら、いきなり「ずぶ濡れの法子の顔」があるって恐ろし過ぎだろ。
この法子という少女は性格も悪くて、ずっと不気味なのである。
『消えた消しゴム』の物語では、主人公の少年・想はフツーに殺人をするのだ。
みどり先生が「優しい」ということに疑問を抱いたクラスメイト達が、「人は死んだら正体が現れる。みどり先生を殺して正体を見ないか?」と提案する。
そしてクラスメイト達はフツーにみどり先生を殺害して工事現場に埋めちゃう・・・、「ヤバイだろ!」。
想という少年は正義感があるように描かれているのだが、みどり先生を殺害した超絶に極悪非道な少年である。
『黒い絵本』の物語では、父親が足の不自由な娘のために自作の絵本を読んであげるという素敵な物語のようだが、絵本の内容は恐ろしい内容ばかり。
サイコパスな父親の異常性が際立つ物語ではあるが、娘は「パパの描く絵本が一番好き!」と言って、残酷描写の絵本を見て「おもしろ~い!」と喜んでいるのだ。
父親もヤバイが、お前もヤバイだろ!
しかし、楳図かずお先生の残酷描写を見て「おもしろ~い!」と喜んでいる僕もヤバイのかもしれない。
とにかく楳図かずお先生の残酷描写と発想力には驚かされるばかりであった。
楳図かずお先生は偉大である。
いやぁ、面白かった。
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