死体が消えた。そんな映画『ロストボディ』を観た。
『ロストボディ』 消えた死体に怯える男。 面白き設定に引き込まれる。 監督:オリオル・パウロ 出演:ベレン・ルエダ ウーゴ・シルバ ホセ・コロナド |
死体安置所から謎の失踪を遂げた死体をめぐる謎を描いたスペイン産ホラー。
『ロスト・アイズ』の脚本家オリオル・パウロが監督・脚本。
『永遠のこどもたち』のベレン・ルエダが出演。
「シッチェス映画祭ファンタスティックセレクション2013」にて上映。
2012年製作/111分/G/スペイン
原題:El cuerpo
配給:松竹
ある晩、 死体が失踪したことにより、ある男が恐怖のためにパニックに陥ってトラックに轢かれて死亡した。
警察が現場に到着して、轢かれた男性は近くの死体安置所の警備員であることが判明。
死体安置所では3号室からマイカという女性の死体が忽然と姿を消していたのだ。
ハイメ警部は死体失踪事件の調査を開始するが、死体安置所では次々と恐ろしい出来事が起こり始める。
果たして失踪した死体の行方は・・・??
死体失踪事件の捜査に乗り出したハイメ警部は、マイカの夫アレックスと接触を図る。
妻を殺害したが、その死体が忽然と姿を消して、殺害した夫が警察に疑われて、さらには「妻は生きている!!」という恐怖に怯えおののく映画で、なかなか面白い。
そして、この妻をいたずら好きに描いたことによって、「この妻なら、夫を騙して復讐をしかねない」という風に見せていったのも、お見事だ。
警察による追求と、妻による恐怖が、男を極限まで追い詰めていく。
また不倫相手の女性だけが自分の味方であり理解者だと思って頼り続けている男の間抜けさが、物語を最高のクライマックスへと導いてくれる。
「男というのはバカだなぁ」ということを思うと同時に、「女って怖いなぁ」ということを思わざるを得ない。
妻と不倫相手の女性、どちらも怖い。
この男はあまりにも不運である。いや、元々は男のスケベ心が悪いのだが。
でも女性に対して幻想を抱いていたのが間違いの元である。
ラスト、全ての真相が明らかになる。「なるほど!」と思いつつ、不倫相手の女性が容姿端麗であったから成立した物語だったのだ。
男が見向きもしなかったら、この物語に進展はなかった。
いや普通の男なら、いくら何でも「妻を殺害しよう」という発想にはならないはずである。
男に復讐を目論んだ刑事が自分の娘を使って男に性行為をさせるなんてことは、フツーの父親なら絶対にイヤな手段だとは思うが・・・。
だが「殺害した妻の死体が消えた」という面白い発想を、見事に物語にしたことは実に面白かった、といったところで「カット、カット」。
この記事へのコメントはありません。