藤田和日郎先生の原画展の図録を買ったのだ。
2018年の11月から2019年12月まで全国各地で開催されていた『藤田和日郎原画展』の公式図録である。
残念ながら原画展には行っていない。30周年を記念して開催されていたらしいが、次回の開催はいつになるのだろうか、と行っていない後悔の念が押し寄せてくる。
図録もイイが、生で藤田和日郎先生の絵を拝みたかったものだ。
僕が中学生の頃、藤田和日郎先生の連載デビュー作であり代表作の『うしおととら』のコミックを買い集めていた。
ダイナミックな筆使いが印象的で、活発な少年「うしお」と見た目が結構怖い妖怪「とら」とのコンビが痛快で非常に好きだった作品である。
獣の槍を使う時に、うしおの髪の毛が伸びて戦う姿もカッコ良くて痺れた。
その後は『邪眼は月輪に飛ぶ』というコミックを読んだが、その他の作品は今のところ未読である。
今後、作品も追いかけていきたい。
藤田和日郎先生の画風は非常に好きで、線が生きていて、キャラクターもアクション描写も見ていて興奮する。
今回の原画展の図録も魅力的なイラストで溢れている。一枚のイラストから生命力がぐんぐん溢れ出しているのだ。
『うしおととら』では、うしおが覚醒した時のロン毛や、とらの長く鋭く尖った毛を有効活用して、最もカッコイイ構図で躍動させている。瞳がキラキラとギラギラと輝き、迫りくる表情、力強くしなやかに踊る身体、藤田和日郎先生の情熱とパワーが火傷しそうな程に伝わってくる。
『からくりサーカス』『月光条例』『双亡亭壊すべし』無限の想像力が創作のエネルギーと化す。
少年の心を持ったまま、作者は読者の感性と対峙する。読者は作者の熱量を肌感覚で感じ取り受け止める。
画業30周年の歴史と重みと色褪せない情熱が眩しい。
藤田和日郎先生を『漫勉』というテレビ番組で拝見した時の人柄も楽しく、それでいて漫画における情熱や厳しさがカッコ良くて、だからこそ数々の名作を生んだであろう人間としての迫力があった。
モノクロで描かれた漫画のカッコ良さと、色彩豊かに描かれたカラーイラストのカッコ良さ、どちらも魅力的なキャラクター達が生きていて、それは今日を生きる魂が明日へと受け継がれて、永遠に生きるのだ。
次回、原画展が開催される時は、足を運ぼうと思う。
生の原画を見れる貴重な体験は、何とも贅沢で至福の時間である。
その時を楽しみに。
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