楳図かずお先生が監督を務めた長編映画『マザー』を観たのだ。
『マザー』 ツッコミのない怪奇コント。 真面目に観ると混乱する。 監督:楳図かずお 出演:片岡愛之助 舞羽美海 真行寺君枝 |
『漂流教室』『わたしは真悟』などのホラー漫画界の巨匠・楳図かずおが、77歳で映画監督デビューを果たした長編作。
楳図かずお自身が脚本も手がけ、亡き母との思い出と自身の創作の秘密に迫った自伝的ストーリー。
ドラマ『半沢直樹』で話題を集めた歌舞伎俳優の片岡愛之助が、楳図かずお役で主演を務める。
元宝塚の女優・舞羽美海が担当編集者の若草さくら、真行寺君枝が楳図の母イチエを演じている。
主題歌を提供した中川翔子も出演。
2014年製作/83分/G/日本
配給:松竹メディア事業部
人気漫画家・楳図かずお(片岡愛之助)のもとに、出版社から彼の自叙伝の出版企画が舞い込んでくる。
担当編集者となって取材を重ねる若草さくら(舞羽美海)は、楳図の創作の原点が亡くなった母親イチエ(真行寺君枝)の影響があることを知る。
イチエの調査を進める彼女と楳図の周囲で、次々と怪奇現象が頻発する。
楳図かずお先生の原作モノであるとは知っていたが、楳図かずお先生自身が監督まで務めた作品だということを知らなかった。
楳図かずお先生が監督をした作品ならば観たいということで本作を観たが、「何ですか?これは」と目の前で繰り広げられる楳図ワールドに頭を抱えることとなった。
楳図かずお先生が監督でなければ「正直ツマラナイ」が、楳図かずお先生が監督だと思うと「狂ってる作品」だと受け入れようと、思考を混乱させられてしまうのである。
楳図かずお先生役の主演が片岡愛之助という狂ったキャスティングにも理解出来ないが、何故カラテカの矢部太郎を起用しなかったのだろうか。
また母親役が老人の設定だとは思うのだが、どう見たって若い女優さんが白髪のカツラを被っただけ。
担当編集者の女性は最初オドオドと超人見知りみたいな感じだったのに、取材時には初対面の人たちにハツラツと積極的な姿勢で取り組んでいて、「別人格か!」と目を疑うレベル。
最初の登場シーンは「楳図かずお先生のファン」なので、初対面の楳図かずお先生に緊張した姿であったのかもしれないが、どう見たって違和感がハンパない。
楳図かずお先生と担当編集者が偶然に手と手が触れあった時に、お互いにドキッとするシーンも意味がわからな過ぎた。
本作が楳図かずお先生が描いた漫画で読めるとしたら面白かった作品であるとは思うが、実写でヘンテコな楳図ワールドを展開されてもツッコミのないコントを観せられているようであった。
それでも楳図かずお先生が手掛けた映画が観られるというのは非常に貴重な映像体験であった、といったところで「カット、カット」。
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