Netflixドラマで現在話題沸騰中の『地獄が呼んでいる』を観た。
『地獄が呼んでいる』 冒頭が面白さのピーク。 主役の描写が弱い。 監督:ヨン・サンホ 出演:ユ・アイン、キム・ヒョンジュ、パク・ジョンミン、ウォン・ジナ、ヤン・イクチュン、キム・ドユン、キム・シンロク、リュ・ギョンス、イ・レ |
『新感染』シリーズのヨン・サンホが監督を務めた、世界に向け配信された全6話のホラードラマ。
1980年代の韓国民主化闘争を描いたグラフィック・ノベル『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』を描いたチェ・ギュソクと共作の『地獄』が原作。
地獄(1)
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2021年 / 韓国
原題 / 지옥 Jiok
ソウル中心部の大勢の人の目の前で信じられないような地獄絵図が繰り広げられ、不可解な存在に地獄行きを宣告された男は、指定された時刻に現れる、この世のものではない存在によって残酷に焼き殺された。
不可解な超常現象によって巻き起こる異常な大混乱の中で、新真理会という新興宗教団体のリーダー、チョン・ジンス が、罪深い者のみが宣告の対象となり、この現象は人間を正しい道に導く神の意志によるものだと主張する。
彼を盲信する信者から成る”矢じり”というグループは、神の意志に背く者を自らの手で裁くようになる。
弁護士のミン・ヘジンは、チョン議長に反論して、この世を神から人間の手に取り戻そうと、地獄に呼ばれた人を守ろうとする人たちと手を組んで、新真理会が扇動する大混乱に立ち向かう。
Netflixで配信された韓国ドラマは何かと話題になるが、毎度そのブームに乗り遅れた後で視聴するので今回は早めに本作を観た。
全6話という観やすい尺なのでサクサクと観れた。
第一話の冒頭での、喫茶店でスマホの時刻を見ながら怯える男が、ゴリラのような怪物から逃げ惑い街の中や車道で怪物に袋叩きにされるシーンで、面白さの期待値が上がった。
しかし全6話を通して観ると、個人的に一番面白かったのは冒頭で男が地獄行きにされたシーンがピークであった。
そして作品全体での感想はイマイチである。
シーズン2を作ることを見越しているのだと思うが、全6話で観やすいと思っていたはずのシーズン1は、あまりにも謎が多く残り過ぎて物足りなかった。
推理小説で言えば犯罪行為を散々見せたあげく、誰が犯人なのかワカラナイまま終えていったようなモヤモヤした不完全燃焼感が残り、あまりにも不親切な物語であると思わざるを得ない。
ひとつも謎解きをせずに「ここで終わるのかよっ!」と途方に暮れるではないか。
「死の告知」や「怪物が何なのか?」も「告知される理由」「告知されても生きている人がいる」ということも解明せずに、多くの謎を残したまま全6話が終わってしまったのだ。
これでシーズン2が作られなかったとしたら発狂レベルである。
漫画原作モノなので原作を読めば謎が解けるのかもしれないが、だったらドラマを作るべきではない。
『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』という実写映画を2017年に公開しておきながら、大コケしたことで一向に「第二章」が作られず、「続きが気になる方は漫画を読んで下さい」と言わんばかりに知らんぷりをしている無責任な悪夢の惨劇を思い出してしまったではないか。
『地獄が呼んでいる』は幸いなことに配信直後から24時間で『イカゲーム』を抜いて世界一位の大ヒットを記録しているので、間違いなくシーズン2は作られると思うが、それにしても不親切なシーズン1である。
他にイマイチの理由として、主役の描写が弱かった。
前半と後半の両方に出ているのが弁護士の女性なので彼女が主役であると思うが、全然応援出来ないほどに描写が弱い。
それとも新真理会の初代議長が主役なのであろうか。最後に何故か生き返ったし。
主役をハッキリさせないことが策略ならば、誰に感情移入すればいいのか迷走してしまう。
本作の見どころは怪物が現れてターゲットを袋叩きにして焼き払い地獄に送りこむシーンだと思うが、冒頭での派手な地獄送りシーンが結局一番面白くて、それ以降は観ている側もだんだん慣れてくるし、スケールダウンした地獄送りを観ていても心が躍らないのだ。
シーズン2が配信されれば観ようと思うが、シーズン1はイマイチであった、といったところで「カット、カット」。
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