ジェームズ・ワン監督の『マリグナント 狂暴な悪夢』を観たのだ。
『マリグナント 狂暴な悪夢』 ホラーとアクションがマッチング。 想像の斜め上を行く「種明かし」。 監督:ジェームズ・ワン 出演:アナベル・ウォーリス マディー・ハッソン ジョージ・ヤング |
『ソウ』や『インシディアス』シリーズなど数々のホラーを手掛け、『ワイルド・スピード SKY MISSION』『アクアマン』などアクション超大作も大ヒットさせているジェームズ・ワン監督がオリジナルストーリーで描くホラー。
『スカイスクレイパー』のエリック・マクレオド、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』のジャドソン・スコットらが製作総指揮。
『アナベル 死霊館の人形』のアナベル・ウォーリスが主演。
『アイ・ソー・ザ・ライト』のマディー・ハッソン、ジョージ・ヤング、ミコール・ブリアナ・ホワイトらが出演。
2021年製作/111分/R18+/アメリカ
原題:Malignant
配給:ワーナー・ブラザース映画
マディソンは、ある日を境に目の前で殺人を目撃するという悪夢に苛まれる。
超人的な能力で謎めいた漆黒の殺人鬼が、次々と犠牲者を殺めていく。
マディソンが夢で見た殺人が現実世界でも起こり、殺人現場を疑似体験するようになったマディソンに魔の手が忍び寄る。
ジェームズ・ワン監督が手掛けた大人気ホラー映画の「ソウ」シリーズは一本も観たことがなく、同監督によるアクション映画の『アクアマン』ならば観ていた。
ホラーものを撮ったりアクションものを撮ったり、なかなか扱うジャンルにギャップがあるなぁという印象だが、その両ジャンルとも大ヒットの結果を出しているのだから凄い。
『マリグナント 狂暴な悪夢』をホラーと思いつつ観ていたら、ホラーとアクションを掛け合わせた驚異の傑作だった。
殺人鬼系の映画で、例えば『13日の金曜日』でジェイソンが襲ってくるというシーンはあるが、ジェイソンが数十人を相手に素早い動きでカンフーの技を使うように一気に仕留めることはない。
昨今のホラー作品で「ホラー × アクション」が思い浮かぶのは、『ドント・ブリーズ』『クワイエット・プレイス』といったところではあるが、本作はそれらの作品とも違った異質感がある。
Jホラー的な貞子感漂う髪の毛ロングの「幽霊のようなもの」のシルエットが浮かび、尋常ではないスピードとパワーで襲いかかり人間を瞬殺するのだ。
シルエットが浮かぶシーンは『ライト/オフ』というホラー映画に似ているなぁと思っていたら、『ライト/オフ』の製作をジェームズ・ワンが務めていたらしく合点がいった。
本作は今までにホラーやアクションを手掛けてきた、ジェームズ・ワンの得意技が詰め込まれた作品なのだ。
映像もやたらと美しく、変わったカメラアングルやカメラワークで撮影や照明にも凝っており、心の不安定さや奇妙な空間、悪夢の迷路に迷い込んだかのような演出が素晴らしい。
それにしても主役である女性のマディソンの家が非常に広い。屋敷の中を走り回れるので、真上からの俯瞰ショット等の効果が活きてくる。
邦画ではなかなか出来ない。狭い家を大胆に走り回れば壁や柱に激突して、挙句の果てには撮影スタッフとガッチャンコである。
悪夢が現実と重ね合うことで恐怖に陥り、マディソンが被害者であり加害者であろう予測は出来るが、その想像の斜め上を行く「種明かし」は本作での最高の興奮ポイントなのだ。
ジェームズ・ワン監督の演出によって物語がさらに魅力的に映るのだと認識した、といったところで「カット、カット」。
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