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ドラマ『わが家の歴史』ネタバレ・あらすじ・感想。

谷幸喜脚本のドラマ『わが家の歴史』を観たのだ。

『わが家の歴史』
日本版「パラサイト」。
純朴家族によるカネの物語。
監督:河野圭太
出演:柴咲コウ, 佐藤浩市, 松本潤, 佐藤隆太, 堀北真希

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解説

 
フジテレビ開局50周年を飾る「三谷幸喜」脚本で日本中に笑いと感動を巻き起こした奇跡のスペシャルドラマ。

昭和20年から昭和39年までの歴史を、連続ドラマの主役級が集結して、大家族・八女(やめ)家を演じる。

40件近くの歴史的な出来事・事件(太平洋戦争、天皇巡幸、帝銀事件、洞爺丸事故、安保闘争、新幹線開通、東京オリンピック・・・)の遭遇や、30人近い実在の人物(吉田茂、美空ひばり、手塚治虫、力道山、升田幸三、榎本健一、古川ロッパ、糸川英夫・・・)、時代の寵児たちに出会う。

著名人たちを演じるゲスト陣も豪華キャストで、旬の人や超大物タレント、ベテラン俳優が続々登場する。

 

あらすじ

 
昭和20年、日本は終戦を迎え、博多で暮らす7人家族の八女(やめ)家。

長女・政子(柴咲コウ)17才が、甲斐性なしの父・時次郎(西田敏行)に代わり一家の生活を支え、弟・義男(松本潤)は東大を目指して勉強中、もう一人の弟・宗男(佐藤隆太)は中洲の街で働いていた。

母・マキ(富司純子)は、大人びた性格の波子(堀北真希)と素直な房子(榮倉奈々)、政子の妹たちをを見守っていた。

父・時次郎と戦友・古賀巳代治(高田純次)との一攫千金を狙った事業が大失敗して、幼馴染みのつるちゃん(大泉洋)の親戚の六畳一間に居候することになる。

中洲のクラブ「長い夜」で働き始めた政子は、店の経営者である、新進実業家・鬼塚大造(佐藤浩市)と知り合い、大造は、お互いに惹かれ合う。

激動の時代を生き抜く彼らの運命は、・・・。

 

感想

 
三谷幸喜脚本のフジテレビ開局50周年を飾った三夜連続のスペシャルドラマで2010年4月9~11日に放送されたものだが、「そういえば観ていないなぁ」と思い、今回三夜分を観ることにした。

ドラマを観ていると「何だか観たことあるなぁ」と記憶が少し蘇り、最初から最後までキッチリと観ていないにせよ、何となく観たことがあるドラマであった。

12年前のドラマで豪華キャスト陣を集結させていたが、現在のテレビ界ではなかなか予算的にも厳しい貴重なキャスティングである。

主演の柴咲コウが17歳から30代半ばまでを演じて、その他の出演者たちも無論、年月を重ねた同一人物を演じるわけなので違和感なく見せることが要ではあるが、気にすれば少し気になる程度で気にせずに観れば年齢的な設定は大して気になることはなかった。

三夜分のドラマを観たが、総体的には「お茶の間で家族とテレビを囲んで安心して観る」には楽しめた作品なので良かったのだろう。

色んなしがらみやコンプライアンス等に配慮して誤解を生む表現は避け、笑って温まるホームドラマとして成立させていた。

そんな事情を考慮した上で少しばかりのイチャモンを付けさせてもらうが、この手の時代設定で気になる描写は、あまりにもバカ正直で純朴な人々である。

博多弁で会話する八女家の家族たちが純朴過ぎるほどの純朴で、「昭和初期の人たち」を描く際によく見られる気持ち悪い描写なのだ。

日本の戦争ドラマや映画等でも、「昭和初期のイキイキとした純朴で正直な人々」が描かれることが多いが、どうも毎回違和感を覚える。

登場人物たちが目を輝かせながら妙にハツラツとしていて気持ち悪いのだ。

生活が貧しくても心豊かに楽しく生きる昭和初期の家族たちを描くことで、温かい気持ちにさせる定番のパターン。

更には戦争による悲劇や、純朴と対極にいる酷い連中からの嫌がらせを受けることを描くことで、純朴家族の心の美しさに日本国民は感動するのである。

日本のどこにでもいる家族風景を描いているようで、『わが家の歴史』の八女家は博多弁を武器にした全員が大いに純朴家族であり、「そんな家族いません」と妙に冷めた感情になってしまう。

西田敏行以外の家族が全員美形なのも違和感があり、せめて『サザエさん』的な顔ぶれならばリアリティーもあっただろう。

時代設定を考慮して昭和の歴史を随所に散りばめながらリアリティーを描いているかと思えば、昭和の著名人を複数人も登場させ八女家の人たちと接触させるというリアリティーのなさを敢えて描くことは必要だったのだろうか。

フジテレビ開局50周年記念ということでテレビを盛り上げたスターたちを集結させた意図は感じとれたが、力道山や美空ひばり、手塚治虫たちが八女家の家族と交流があるところまで描くとなると、「こんな家族いない!」と益々冷めた感情で溢れかえってしまうのだ。

また大泉洋演じる「つるちゃん」が総理の護衛についたり、ありえない出世を成し遂げていくのである。

柴咲コウが演じる長女の政子は、佐藤浩市演じる実業家の鬼塚大造の愛人になり新たな家庭を築いていくが、何故か八女家の家族全員が鬼塚大造に面倒を見てもらうカタチになるのも不思議で仕方ない。

2019年に韓国で『パラサイト 半地下の家族』という映画が製作されたが、『わが家の歴史』は「日本版パラサイト」だと思った。

鬼塚大造に家族全員がパラサイトするなんて恐怖でしかない。

とにかくカネのチカラで何でも思い通りに進めてきた鬼塚大造と、西田敏行演じる時次郎のカネによる失敗で家族を貧困に落とす相反するドラマが、これは「愛」という皮を被った「金」の物語であることに気付かされる。

家族愛を前面に出しながら、実はカネによって翻弄される人間の滑稽さを描いたドラマなのだ。

それは皮肉にもフジテレビ開局50周年での「テレビの愛」を掲げながら、「視聴率」に翻弄された人間たちの縮図のようにも見える。・・・そこまで意地悪な見方をしなくてもイイと思うが。

大スケールなドラマで凄くチカラを入れ臨んだと思われるが、タイタニック号のように船が沈没に襲われたシーンは全然迫力がなくて残念であった。

イチャモンは色々とあったものの、冒頭にも述べたが総体的には良く、何も考えずに観るのであれば楽しめる作品だった、といったところで「カット、カット」。

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