「悪魔のいけにえ」の最新作を観たのだ。
『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』 サリーはサラ・コナー。 レザーフェイスは不死身ターミネーター。 監督:デヴィッド・ブルー・ガルシア 出演:サラ・ヤーキン、エルシー・フィッシャー、マーク・バーナム、ジェイコブ・ラティモア、モー・ダンフォード、オルウェン・フエレ |
1974年から始まった殺人鬼「レザーフェイス」を題材とした伝説的ホラー映画『悪魔のいけにえ』シリーズ第9弾。
Netflixで2022年2月18日から配信。
2022年製作/83分/アメリカ
原題:Texas Chainsaw Massacre
テキサスのゴーストタウンを再生しようとする若者たちが、人皮のマスクをつけた殺人鬼レザーフェイス潜む町とも知らずにやって来る。
血の惨劇が再び幕を開けた。
Netflixは魅力的なコンテンツをNetflix製作で揃えて、遂に「悪魔のいけにえ」シリーズにまで手を付けてきた。
僕も過去作の「悪魔のいけにえ」をNetflixで視聴した気がするが、視聴者に人気の高いコンテンツをNetflixはデータで把握出来るわけだから、続編に取り掛かる決定も出しやすい。
本作では現代の若者たちがレザーフェイスの餌食になってしまう惨劇に加えて、1974年の第一作目のヒロインであるサリーが50年ぶりにレザーフェイスと対峙するという見どころが盛り込まれている。
ショットガンを手に勇敢な面持ちで現れたサリーを観ていると、「ん?『ターミネーター:ニュー・フェイト』みたいだな」と思った。
これは28年ぶりにターミネーターに勇敢に立ち向かったサラ・コナーではないか。
さらに1978年の『ハロウィン』の続編として描かれた2018年の『ハロウィン』を思い出した。
2018年の『ハロウィン』では、ブギーマンことマイケル・マイヤーズとヒロインのローリーが40年ぶりに因縁の対決を繰り広げるのだ。
生き残ったヒロインが数十年ぶりに殺人鬼と対決するパターンは、シリーズファンとしては確かに嬉しい企画である。
だが「折角生き残ったヒロインをまた危険な目に合わせるのか?!」と文句も言いたくなる。
「折角生き残ったヒロインを今回は死なせるのか?!」という憤りがあるのだ。
確かに壮絶な恐怖体験を味わったヒロインが、その後の人生でハッピーに生きていけるとは思えない。寝ても覚めても殺人鬼のことがトラウマとして残り、精神的苦痛に悩まされる。
その苦痛や苦悩から解放される方法は、「殺人鬼を仕留める」ことに他ならない。
だが「殺人鬼を仕留める」ことに成功したとしたのなら、「悪魔のいけにえ」シリーズは完結することになる。だとすると今回のタイトルは「リターンズ」ではなく、「悪魔のいけにえ – ザ・ファイナル – 」になっていたであろう。
「ファイナル」ではないとしたら、サリーに勝ち目はないこと位、容易に想像出来るのだ。
そんな悲劇的な運命を予感しながらも物語は展開されていく。
「こいつは結構活躍するだろう」と思ってたイキがっていたオジサンも呆気なくレザーフェイスにハンマーで頭部を粉砕されてしまった。
とっとと逃げればイイものを、車でレザーフェイスを轢き殺そうとして事故ちゃってピンチになる始末。
ってか、レザーフェイスが不死身過ぎて、もはや人間ではない。仕留めるのは絶対的に無理だ。
ショットガンで撃たれようが、チェーンソーで顔をえぐられ水没しようが絶対に死なない。
全て枯れ果て地面を向いているひまわり畑の夕暮れにレザーフェイスが突っ立っている映像が、「悪魔的」であり「神秘的」で、「レザーフェイスに狙われたものは全て枯れ果てたひまわり畑のようになるのだ」と言わんばかりに印象に残る象徴的なシーンである。
シンプルな物語の構成も悪くなく、レザーフェイスが若者たちを襲うシーンも楽しめたが、50年前の第一作目には格段に劣ってしまうのは何故だろうか。
第一作目をまた観返したくなった、といったところで「カット、カット」。
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