渋谷のYUGEN Galleryにて、5月11日(水)~5月16日(月)に西元祐貴個展『飛墨 HISUMI』が開催とのことで、14日(土)に行ってきたのだ。
東京では約3年半ぶりの個展である。
陶板に絵を描く陶芸と墨絵を融合させた「陶墨画」というものを、初鑑賞。
墨で描かれたことによる筆の運びで躍動感が拡がり、墨の濃淡で味わい深い世界観が生まれる。
素焼きの陶板に専用の釉薬で色を重ねながら描いていくという。最終的に1200度で焼き上げるため半永久的に作品が残るのだ。
作品が老朽化せずに半永久的に残っていくことは、アート作品にとって大事なことである。
後世に作品が残り何世紀にも渡り鑑賞者が楽しんで貰えたなら、作家としてはこの上ない喜びだ。
筆を自在に操り、流線形を描いた作風の力強さと滑らかな気持ちの良い墨の流れに惚れ惚れしてしまう。
白と黒の二色しかない表現の中で、不思議と他の色彩が浮かび上がり見えてくる。
今にも迫りくる放射状に飛び散った墨が、生命力を発している。
「飛墨HISUMI」がうねりを上げ轟音を鳴り響かせて、作品の外まで飛び越えていきそうな迫力。
ただ一言を言うならば、「カッコイイ!」。
描き殴っているようで無駄がない。線の流れ、墨の散らばり、全てが作品として必要な情熱の証。
スポーツ選手と躍動感溢れる墨絵の描写は、非常に相性がイイ。
今回の展示では一作品のみだが、西元祐貴さんは多くの競技におけるスポーツ選手を描いてきている。
この日は、会場内ではスタッフの方々が設営の準備途中であった。
大きな作品を展示するのだろうかと、少し待ってみた。
かなり大きな作品が展示されることになりそうだ。
なるほど、これから絵を描いていくのか。
どうやら僕が訪れた14日(土)の17時から招待客に向けて、ライブイベントがあるらしい。
この時、既に16時半位で、後から知ったのだが「一般のお客様は16時まで」だったのだ。それを知らずに作業中の会場に入り込んで作品を鑑賞させてもらったのだから、何とも図々しいお客さんになってしまった。
残念ながら招待客ではないのでライブイベントは見れずだったが、カッコイイ作品の数々を拝むことが出来て良かった。
作品に向かう時の集中力は真剣勝負だろう。勢いのある筆さばきは、まるで刀を手にした侍のようだ。
思わず帰宅してからネットで探し、画集を二点購入。
頁をめくりながら、墨で描かれた日本人の魂を震わせるカッコイイ作品群に見惚れてしまうのであった。
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