Kōki,主演の『牛首村』を観たのだ。
『牛首村』 難役を演じ上げたKōki監督:清水崇 出演:Kōki 萩原利久 高橋文哉 |
『犬鳴村』『樹海村』に続く、清水崇監督が心霊スポットをテーマに撮り上げる「恐怖の村シリーズ」第3弾。
モデルのKōki,が映画初出演で初主演を飾る。
『イノセント15』の萩原利久、『仮面ライダーゼロワン』シリーズの高橋文哉、『あの群青の向こうへ』の芋生悠らが共演。
2022年製作/115分/G/日本
配給:東映
東京に暮らす女子高生の雨宮奏音(Kōki )は、自分とそっくりな女子高生が映る心霊動画を見つける。
その少女は牛の首のマスクを強引に付けさせられ、廃虚のエレベーターの中に閉じ込められようとしていた。
胸騒ぎを覚えた奏音は動画が撮影された坪野鉱泉へ向かう。
やがて「牛首村」と呼ばれる村に残る風習の存在に凍りつく。
中々の呪いのパワーが激しい本作。『犬鳴村』『樹海村』に続くシリーズで、格別に面白かったわけではないが、その中でも本作が良かった気がする。
本作ではハッキリとした「綾子」という幽霊が登場したことで気持ち悪さを楽しむことが出来た。
鏡やガラスに不可解な姿が映り込む不気味さも良く、双子の物語の関連性を繋ぐ面白い演出である。
坪野鉱泉という実際の心霊スポットで撮影した面白味はあるものの、何故「牛首村」に直結していくのかが一切分からない。
「坪野鉱泉と村の関係性は何ですか?」と一番問いたい問題に答えることなく、牛首村にまつわる呪いの話だけを語りはじめる。
「牛の首」の怪談話を聴くと恐ろしくて死んでしまう都市伝説的な導入は良かったが、怪談話に特に恐怖はなく(内容を知ると死ぬので伝わるわけがない)、「だったら、その話いらない」と思った。単なるツマラナイ怪談の噂話でしかない。
心霊現象が起こるシーンは面白いが、牛首村の謎についての解説は正直一番ヒマになるところだ。
「村」シリーズの三部作である不必要な縛りが、本作を不自由なモノにしている。オープニングで出て来るYouTuberも決して評判がイイわけでもないのに、「村」シリーズであることの縛りで「今回もYouTuberやっちゃおう」というノリで撮っているのだろうが、誰も喜んでいない「お決まり」を披露されても嬉しくはない。
また「村」シリーズであるが故に、牛の首にまつわる呪い話も創作しなければならない。
本来なら「坪野鉱泉で牛の首の被り物をしたイジメられた少女がエレベーターで落下死する」物語で良かったのに、「牛首村」を絡めなければならないことで迷走していくのだ。
一作目の「犬鳴村」は村自体が心霊スポットだったが、「牛首村」は勝手に無理矢理作りあげた村なので無理が生じて、シリーズ化することがマイナス要因を生み出したのである。
本作で女優デビューを果たしたKōki
本作で悲惨なのは山崎さんという男で、小便を引っかけられたり、白昼堂々エレベーターで派手過ぎる残虐な死を遂げたり、気さくなイイ人でありながら殺されるために出てきた可哀相な人である。
今回「綾子」という幽霊が恐怖の存在として登場してくれたことが有難く、清水崇監督の『呪怨』の加耶子が好きな僕にとっては、「綾子」が暴れ回るシーンは嬉しいサービスだったのだ。
奏音の妹の詩音の身体に異変が起こり、身体をクネクネさせながら赤ん坊の顔等が腕や首に腫れ浮き上がってきたシーンも良かった。
しかし本作よりも、坪野鉱泉で実際に起きた事件(知らない方は検索してみて)の方がよっぽど怖くて興味深いものである、といったところで「カット、カット」。
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