横須賀美術館で開催されている『運慶 鎌倉幕府と三浦一族』に行ってきたのだ。
横須賀美術館前には東京湾が広がる。
県立観音崎公園の緑に囲まれて、清々しい空気を味わいながら食事を楽しむことも出来る。
いざ、「運慶展」へ。
館内は写真撮影が不可なので、写真なしで「運慶展」の感想を。
今年は1223年に没した運慶の八百年遠忌にあたり、それを記念して三浦一族の歴史とゆかりの深い横須賀市で開催。運慶および運慶工房作と見られる仏像を中心に計約50点もの文化財が展示されていて、運慶の魅力を満喫する有難い機会である。
運慶作品は奈良・東大寺の金剛力士像が有名であるが、本展ではそれ以前の運慶の活動に注目。
鎌倉時代初期に鎌倉幕府という新政権と密接に結びつき活躍した運慶は、幕府において需要な位置にあった三浦一族の造仏に深く関与していたという。
僕が一番好きなのは横須賀市・浄楽寺所蔵の『不動明王立像』。その険しく恐ろしい表情と背後に燃え盛る炎、思わず「カッコイイ」と見惚れてしまう。
煩悩を断ち切り仏道に導いてくれるために険しい表情を浮かべている不動明王と対峙すると、煩悩まみれの自分でさえも邪気が祓われ心も浄化されていきそうである。
同じく浄楽寺所蔵の『毘沙門天立像』もカッコイイ。優雅な出で立ちで、足元では邪鬼を踏みつけている。険しい表情を浮かべることなく歌舞伎役者のように見得を切るでもなく、それでいて無表情な毘沙門天。
立ち姿から表情、身体つき、ポーズ、そのどれもが惚れ惚れする程にカッコイイ。
因みに浄楽寺では運慶作の仏像が5体も安置されており、本展ではその内の『不動明王立像』と『毘沙門天立像』の2体を拝むことが出来る。
横須賀市・満願寺所蔵の2M越えの『観音菩薩立像』『地蔵菩薩立像』も圧巻。しかし衣がややシンプルであるため運慶の作風とは異なるように見え、運慶に近い人が作った運慶工房の作品だとも。
満願寺からは本展のために『観音菩薩立像』『地蔵菩薩立像』の他、『不動明王立像』と『毘沙門天立像』4体全てが出展されている。
また非常に見応えがあったのが横須賀市・曹源寺所蔵の『十二神将立像』。『十二神将立像』は鎌倉時代初期の運慶派、或いはその工房作と見られている。
「十二神将」とは薬師如来を取り囲む12体の守護神で十二支の姿を表し、バラエティーに富んだ発想の一体ごとに異なる造形と、12体全てが立ち並んでいる光景はあまりにも見事だ。
見どころ満載の「運慶展」。仏像の素晴らしさに見入ってしまった。
図録も購入。解説を読んで更に興味深く味わい、見聞を広めていきたい。
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