都市伝説を題材にしたホラー映画『きさらぎ駅』を観たのだ。
『きさらぎ駅』 「はすみ」の体験談と春奈の物語。 よく出来た二部構成だが疑問点も残る。 監督:永江二朗 出演:恒松祐里 , 本田望結 , 莉子 , 佐藤江梨子 |
2004年にインターネット掲示板「2ちゃんねる」に書き込まれた都市伝説、「きさらぎ駅」をモチーフにしたホラー映画。
『凪待ち』Netflixドラマ『全裸監督』の恒松祐里が映画初主演。
物語の鍵を握る葉山純子を佐藤江梨子が演じ、本田望結が共演。
同じくネット発の都市伝説を題材にした『真・鮫島事件』の永江二朗が監督。
2022年製作/82分/G/日本
配給:イオンエンターテイメント
大学で民俗学を学ぶ堤春奈(恒松祐里)は十数年来インターネット上で話題になっている都市伝説「きさらぎ駅」を卒業論文の題材に決めて調査の結果、この都市伝説の投稿者「はすみ」だと噂されている女性・葉山純子(佐藤江梨子)と対面を果たす。
異世界へ辿り着いたという純子の体験を取材後、春奈は「きさらぎ駅」の舞台となった駅へ向かう・・・。
都市伝説を映画化した本作ではあるが、個人的には「きさらぎ駅」についての都市伝説は知らなかった。
「きさらぎ駅」という現実には実在しない駅に迷い込む異世界の話は魅力的で、パラレルワールド系の怪談も大好きなので非常に期待が持てる。
実際に2ちゃんねるの掲示板に書き込まれた内容だというが、その内容が事実であるかどうかは不明。個人的な見解としては「嘘くせ~」と思っている。携帯の電波が受信出来ていることや、ちょうど続きが気になるところで充電切れになり更新が途絶えたことなども疑問。
さて、そんな都市伝説を題材にして描かれた本作だが、物語の構成がよく出来ていて楽しめた。
前半は「きさらぎ駅」に迷い込んだ体験談を語る佐藤江梨子演じる「はすみ」と、後半は「きさらぎ駅」について取材していた恒松祐里演じる春奈が「きさらぎ駅」に迷い込む二部構成の物語で引き込まれていく。
「はすみ」の話を聴いた春奈が「きさらぎ駅」へと自らの意志で迷い込んでいく異常っぷり。春奈が「きさらぎ駅」に迷いんだ先が、「はすみ」が体験した設定と全く同じであることへの違和感。
何故、全く同じ登場人物が電車内に乗車していたのだろうか。
物語前半では「はすみ」の体験談を「はすみ」主観で撮影していたことにより、ドキュメンタリー風の効果をもたらせ映像に臨場感が溢れた。
「はすみ」が体験した出来事を観ている者が疑似体験していく。
「きさらぎ駅」では幽霊的な存在に襲われるのではなく、どちらかと言うとゾンビみたいな者が襲ってくる。
体中に血管が浮き出てしまい膨張して爆発する現象は意味不明だが、「きさらぎ駅」で起こる怪奇現象は意味不明であればある程、恐ろしい。
「はすみ」の体験談を聴いていた春奈は、これから起こる現象を予測して回避していくことが出来たが、最後に女子高生を見捨てて自分だけが助かろうとした結果、「きさらぎ駅」から脱出することが出来なかったオチも良かった。
「はすみ」にまんまとハメられたワケだが、疑問も残る。
何故「はすみ」は春奈が「きさらぎ駅」に迷い込んだ先で、自分と同一シチュエーションの状況下に置かれることがわかったのか。春奈が迷いんだとしても、「はすみ」が体験した同じ登場人物に出逢うとは思えない。女子高生に出逢えることが予測出来たのは疑問。
同じ状況下に迷い込むことが出来て女子高生を救いたいという想いがあるのなら、「はすみ」自身が何度も自発的に「きさらぎ駅」に訪れることが出来たのではないか。
わざわざ春奈を使わずとも自分がもう一度「きさらぎ駅」に降り立ち、女子高生を救えばイイ。
一人で行くことが不安ならば誰か同伴者を連れて手伝ってもらうことも可能だ。
前半と後半での構成が上手く出来ている分、よくよく考えたら疑問点も浮かんでくるのである。
確かに女子高生を救うために、もう一度「はすみ」が「きさらぎ駅」に迷い込むリスクは、例え女子高生を救ったとしても今度は「はすみ」自身が帰ってこれなくなる可能性もあるわけだから、「はすみ」自身が向かうのは避けたいところだ。
結果、春奈が現実世界に戻って来れなくなったのだが、次に「きさらぎ駅」に誰かが迷い込んだ場合は、一体どんなシチュエーションが待ち受けているのだろうか。
あの会社員や若者たちはいるのか。
今度は電車内で座っている中に春奈がいるかもしれない。
だとすれば誰かが迷い込んだ際に、春奈がもう一度現実世界に戻ってこれるチャンスもある。
「きさらぎ駅」のルールがイマイチ理解出来ないが電車を使った異世界ホラーに興味津々で鑑賞出来た、といったところで「カット、カット」。
はすみがなぜ最後に「後でわかったんだけど。一人しか戻れないことを。」と言ったことで、はすみが少なくとも、二度はきさらぎ駅に行ったことがわかります。つまり一人しか戻れないので、春奈を使って、女子高生を戻したことがわかります。その魔性のはすみ役を佐藤江梨子が演じていることもこの映画の魅力を増していると思います。
なるほどです。「一人しか戻れない」そのルールを何故か聞きそびれたのか、頭に入ってなかったです。僕も異世界に行っていたのかもしれません。