チケットが即完売で観に行けなかった『阿修羅のごとく』を配信で観たのだ。
『阿修羅のごとく』 演出:木野花 出演:小泉今日子 , 小林聡美 , 安藤玉恵 , 夏帆 , 岩井秀人 , 山崎一 |
キョンキョン出演で観に行きたかった舞台だったが、チケットは即完売で太刀打ち出来ず途方に暮れていたところ、14日にWOWWOWでライブ配信されたので歓喜乱舞して観ることに。
向田邦子の原作を舞台化した本作を、小泉今日子、小林聡美、安藤玉恵、夏帆が四姉妹を演じる。「これは観たい!」に違いない。
実際に足を運べなかったのは残念ではあるが、ライブ配信でも観劇出来るのなら有難いことだ。
ライブ映像を観て驚いたのが、観客と役者の距離の近さ。四方向に客席が設置され取り囲まれたセンターステージの非常に近い距離間の中で役者が芝居をするのである。
緊張感漂う距離間で役者の呼吸や会場の空気の流れを感じることが出来る、観客にとっては同じ空間を共有出来る幸せな状況であろう。
「この距離間でキョンキョンを観れるなんて羨ましい~」と単純に思うのであった。長女を演じる着物姿のキョンキョンも貴重。
向田邦子原作の『阿修羅のごとく』の内容に関する知識は皆無だったが、四姉妹がドタバタする物語であることは予測出来た。
向田邦子原作ものを現代風にアレンジしたわけではなく、舞台の時代設定も昭和である。もちろんスマホを使って演技するシーンはなく、舞台上に置かれた黒電話が頻繁に使用される。
70歳を迎える父親の愛人疑惑が浮上したことで四姉妹が集い、四姉妹それぞれが抱える問題と掛け合わせて繰り広げられる人間模様が可笑しくもあり滑稽であり愛おしくなる。
個人的には「父親の愛人疑惑」に関しては「どうでもいいわぁ」と思ってしまうタイプなので、感情移入は出来ない。向田邦子が描く昭和の当時の家族設定としては面白かったとは思うが、現代では「それだけの要素」では興味を惹けないのではないだろうか。
現代ならLINEで「父親に愛人がいるかも」とメッセージが届き「うそ??」と返信すると、証拠付きの画像が送られてくる。驚いた表情のLINEスタンプを送り「父親も若いね~」なんて、結構あっけらかんとして特に問題にならず終えるのかもしれない。
だが昭和の家族にとっては「一家の大黒柱」や「亭主関白」等、父親の威厳があった頃の時代背景なので、娘たちにとっては大騒ぎする問題なのだ。
役者が二役を演じ分けて出演するシーンも面白く、見どころの一つ。
幾度となく舞台の上で芝居の経験を積んできた猛者たちが、相手の演技や客席の空気を感じ取り、0コンマ1秒の間で反応する達人たちの最高な演技バトルに敬服。
「これぞ」と思った舞台は、やはり生で観劇したいと更に思ったライブ配信である。
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