自画像を描くというのは簡単のようで意外と難易度が高い。
実際に自画像を描こうとすると、毎日見ている自分の顔がよくわからなくなる。
普段は主観的に鏡を覗き込むが、自画像を描くという行為は客観的に自分のことを見つめるので難しいことなのかもしれない。
自画像といえば有名なゴッホの自画像がある。彼は生涯何点もの自画像を描いた。耳を切り落とし包帯ぐるぐる巻きの痛々しい自画像もあるが、僕はあの絵が好きなのだ。悲壮感や哀愁が漂っていて何とも味わい深い。
顔は人の生き様を物語る。
のんべんだらりと生きてきた顔と、壮絶に生きてきた顔とでは全然違う。
深みのある顔、浅い顔、人の生き様は顔に表われる。
まさに顔そのものがアートのようにも思えるではないか。
時々、女性の化粧がアート作品に思えることもあるが・・・。すっぴんとのビフォーアフターは、アートそのものだ。
自画像ならぬとも人の顔をモチーフに描いた作品は多々ある。
有名人の顔はとてつもないアートだ。
チャップリン、マリリン・モンロー、ブルース・リー、オードリー・ヘップバーン等の顔の絵は、誰もが見た経験がある。
絵は写真には写らない、感じたものを表現することが出来る。
僕の38歳の顔はどうか?
耳を切り落としたい衝動に駆られる。いや怖いので、鼻毛でも抜いておこう。
自画像の頭の上には花を咲かせよう。頭の中がパラダイスだ。
首からは木の根っこが生えている。やがて年老いれば枯れて朽ち果てていくものだ。
人の生き様は樹木の年輪のように傷や過去をしわに刻み、顔に表われる。
自分の顔を味わい深いものに作り上げていくのは自分自身なのだ。
生涯、失いたくないものがある。それは、情熱と感受性である。
情熱を失くしたものの顔は安易に見透かれてしまう。
感受性を失ったものは死んだような顔をぶら下げて生きている。
魅力的な顔を作り上げることは、自分の人生を真摯に歩み生きることに等しい。
元気いっぱいに咲く花のように、魅力的でありたい。
いつまでも枯れぬように花を咲かせていたい。
自分の顔を描くこと。それは自分の人生を振り返り、辿り着いた「今」を描くこと。
自画像を描くのは、やはり難しい。自分を見つめることは怖い。自分には何も誤魔化せない。
今回の自画像タイトルは『自画ゾーン』。
額縁からはみ出した、ワクにハマりたくない僕の人生の歩みと願望の表れである。
またいつか年を重ねて自分の顔を描きたいものだ。
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