サントリー美術館で開催されている『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』に行ってきたのだ。
六本木駅を降りて東京ミッドタウンへ。
サントリー美術館が所在するガレリア3階に足を運ばせた。
ほんの一部写真撮影OKな場があったので、写真とともにレポートさせていただく。
今回、サントリー美術館で開催された「北斎展」は、世界有数のコレクションを誇る大英博物館で所蔵しているものを逆輸入のカタチで展示された展覧会である。
今回の展示で驚いたのが、東京都墨田区にある「すみだ北斎美術館」や長野県小布施町の「信州小布施 北斎館」では見たことのない展示作品が多く並んでいたことだ。
確かに日本で見ることが可能な北斎作品を展示したところで、「大英博物館」と謳う意味もなく開催する理由もないので、今まで日本で目にしたことのないものを展示するのが、ごもっともであるが。
そして率直な感想は「何やってんねん、日本!」と、貴重な北斎作品をまんまと海外へ大量に所蔵されてしまったことに憤りを感じるのだ。
19世紀に西洋で起きたジャポニスムブームの現象を察すれば仕方のないことではあるが、西洋の人たちが熱心に収集されたことを考えると嬉しさもあるが、やはり「北斎作品を西洋に持っていかれたぁ~」と残念な想いもある。
そこには日本でも見ることの出来る、お馴染みの『冨嶽三十六景』や『諸国瀧廻り』も展示されてはいるが。
大英博物館の所蔵に貢献した外科医のウィリアム・アンダーソン(1842~1900)や小説家のアーサー・モリソン(1863~1945)など、6人の北斎コレクターにも焦点を当て紹介されていた。
北斎愛に満ちていた彼らのことを知ると、「大事に持っていてくれて、ありがとう」と感謝の念を抱く感情が湧き上がる。
北斎の作品数の多さにも圧倒されるが、これが生涯で描いたほんの一部でしかないのだから、北斎の画業人生には敬服するばかりである。
北斎の描く『百人一首』にも驚いた。かなり貴重な展示を目の当たりにしている。
百人一首の歌を北斎が絵にした世界が、イギリスの人たちの心にも響いたのだと思うと芸術の持つチカラは限りない。
大英博物館でしか拝むことの出来ない貴重な北斎作品の数々に巡り会えた最高の機会である。
出来れば写真を撮りまくり保存して、いつでも閲覧出来るようにしたいが、肉眼で見ることの出来た記憶として心の中に大事に残しておこう。
ありがとう、大英博物館。
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