若き日の園子温監督作品と他の邦画を観た。
映画の暗い雰囲気と不気味さが伝わってくる感じである。
園子温監督作品を沢山観てきたが、その中でも『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『地獄でなぜ悪い』は特に好きな作品である。
今回観た『告白』の中島哲也監督、『凶悪』の白石和彌監督も、日本の映画界で良き監督だと思った。
『桂子ですけど』 不思議なリズムの映画。 特異な感性が映し出される。 監督:園子温 出演:鈴木桂子, 内田栄一
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若き頃の園子温監督はとにかく実験的であり、ひとつの概念に縛られることなく自由で詩的であり、めちゃくちゃしているようでめちゃくちゃではない、何とも不可思議な作品を多く作っている。
本作はカメラでの長回し、不思議なリズムで映像が流れる。
赤く塗られた部屋など、園子温監督の普通ではない感性が見える。
『0cm4』 映像感覚で遊ぶ実験的な映画。 色彩表現が面白い。 監督:園子温 出演:永瀬正敏
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永瀬正敏さんが主演の実験的な映画。
映像感覚で遊び、ドキュメンタリーティックであり、不可思議な作品。
色彩がない映像と、色彩が鮮やかな映像を織り交ぜながら、映像の面白さを引き出している。
『告白』 美しい映像と不気味な物語。 監督の独特な演出。 監督:中島哲也 出演:松たか子, 岡田将生, 木村佳乃, 西井幸人 |
映像が美しい、この一言に尽きる。
『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』など、色んなジャンルの映画を撮る監督だが、『告白』という題材を美しい映像と不気味な感覚で表現した。
何本か観ると監督のすごさが浮き彫りになる。
気になる映画監督の一人である。
『凶悪』 酷い暴力描写。 恐ろしいピエール瀧。 監督:白石和彌 出演:山田孝之, ピエール瀧,リリー・フランキー, 池脇千鶴 |
観た人のほとんどがピエール瀧さん怖いなぁと思うだろう。
暴力シーンもエグい。
園子温監督の『冷たい熱帯魚』と同様に、暴力シーンで嫌悪感を抱く人もいるかもしれない。
苦手な人は離脱してしまう。
個人的には苦手な部類だが、真正面から立ち向かっている表現には感心するし、中途半端に描かれた暴力よりは全然好きである。
北野武監督が言っていたが、「キタノの映画は暴力が残酷だ」と海外の人に指摘されるらしい。
アクション映画で何十人、何百人を銃殺している海外の人達に言われたくねーよ!と反論するが、キタノ映画は「暴力がイタイ」と。
『凶悪』もそうだ。暴力描写がイタイ。
でも暴力とはそういうものだ。
銃を乱射してバタバタと人が倒れて、正義のヒーローが大活躍なんて暴力の実感もない。
人を殴る行為その一つ一つがイタイし、観るモノには嫌悪感を与えるもの。
戦争映画もそうだ。
爆弾ひとつで何万人の命が奪われる。
本来もっと残酷に悲惨さを伝えなければ、戦争の抑止にはならない。
映画で疑似体験することで、リアルな悲惨さや残酷さが伝わる。
ピエール瀧さんの、面会室でのおとなしい感じの演技も良かった。
狂気の部分と、そうでない部分の描かれ方がいい。
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