前作が面白くて期待していた『 IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』。
映画を観ているうちに、頭を抱えるのであった。
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』 続編はやりすぎの下品。 前作の世界観が台無し。 監督:アンディ・ムスキエティ 出演:ビル・スカルスガルド ジェームズ・マカヴォイ ジェシカ・チャスティン |
スティーブン・キングの小説『IT』を映画化した大ヒットホラー『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』の続編にして完結編。
前作から27年後が舞台。
大人になった「ルーザーズ・クラブ」の面々が、再び「それ」と対峙する。
監督は前作と同様、アンディ・ムスキエティが務めた。脚本も人気ホラー『死霊館』シリーズも手がけるゲイリー・ドーベルマンが続投。
ドラマシリーズ『ヘムロック・グローヴ』などのビル・スカルスガルドが再びペニーワイズを演じる。
2019年製作/169分/R15+/アメリカ
原題:It: Chapter Two
配給:ワーナー・ブラザース映画
1987年の夏、メイン州の小さな町デリーで起きた子どもの連続失踪事件。
正体不明のペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)を落ちこぼれの子どもたち=“ルーザーズ・クラブ”の7人は“それ”と対決し、撃退に成功してから27年後。
再びデリーで不可解な連続児童失踪事件が起きて、クラブのメンバーにデリーへ帰ってくるように促すメッセージが届く。
そしてビル(ジェームズ・マカヴォイ)たちは、デリーに集結し久々に再会するが、そこにいないメンバーがひとりいた。
前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は面白かったという記憶があったが、詳細は忘れていた。
27年前の子供たちの姿を忘れているので、大人になった彼らを判別するのが困難であった。物語が進行するうえで子供時代と大人になった彼らの姿がオーバーラップしたり、わかりやすく補足しながら見せていってくれるので大した障害にはならなかったが、前作をしっかりと記憶した状態で観ていた方が映画に没入出来たのは否めない。
それでも前作が面白かったという記憶と、実は公開を楽しみにしていて「観に行こうかなぁ」という想いもあった。
しかし「こんな映画だったっけ?」と前作とのギャップに目をパチクリさせていた。
本作はとにかく悪い意味で「やりすぎ」で、もう全然違う映画になっている印象。
例えば前回の「カレーライスが美味しかった」という記憶を元に、久しぶりにカレーライスを食べたら「過剰な具材や味付け」がしてあって、これは「やりすぎ」といった具合。じゃがいも、人参、玉ねぎ、お肉のオーソドックスなカレーが好きだったのにも関わらず、きゅうり、ゴーヤ、茄子、アボカド、リンゴ、パイナップル等、余計な具材をいっぱい詰め込んできて、「おいおいおいおい」と頭を抱えてしまう。
漫☆画太郎のコミックに出てきそうなババアが登場したり、サム・ライミの『スペル』みたいにゲロを噴出したり、『ヒルコ/妖怪ハンター』で出てきた顔面グモみたいなヤツが登場したり、すぐに蜘蛛になりたがるホラー映画だが、『貞子』がどんどんエスカレートして全然別次元にいっちゃったように、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』もやりすぎ感ハンパなくて、おまけにペニーワイズが巨大化したりと「前作もこんな感じだったけ?」と記憶を辿るが思い出せない。
これが『IT』という映画でなければ全然良かったが、『IT』って何でもアリだなぁという下品さがキツイ。
また翻訳に問題アリなのか、ペニーワイズのことを、「IT」すなわち「それ」と呼ぶことの違和感。
【「それ」は】、【「それ」がやって来る】、【「それ」を】等、そんな呼び方するかね?
アメリカの子供たちは、日本のオニごっこみたいな遊びをする時に「オニ」のことを「それ」と呼ぶというのを聞いたが、「IT」を真面目に翻訳すると「それ」ではあるが、本作の呼称はきっと「それ」ではなくて「オニ」的な何か違った意味合いがあるはず。
映画は世界観を台無しにしたやりすぎの下品。しかも3時間近くある無駄な長尺。ツマラナイわけではないが、期待していた『IT』ではなかった。
「それ」を倒した方法も納得出来るものではない。皆で囲んで「ただのピエロ!」といじめるだけ。
残念だった続編の『IT』だったが、前作をもう一度観返したいという想いも湧いてきた、ってなところで「カット、カット」。
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