奇をてらっているわけではなく皆が絶賛している作品を絶賛出来ないのは、今回ばかりは自分の感性に失望した。
『この世界の片隅に』は誰が観ても絶賛する映画である。
悪いとは思わない、良い映画だと思うが、絶賛は出来ない。
健気な主人公と美しい昭和初期の風景、大事なモノが戦争によって奪われていく、そんな映画であることが大体は頭の中で想像出来たからだ。
優しい感じの絵のタッチと悲惨な戦争体験をマッチさせることで、悲しみが増幅する事も想定内である。
とにかく自分の感性に失望したのだった・・・。
『あずみ』 スケールは大きいがイマイチ。 オダギリジョーはイイ。 監督:北村龍平 出演:上戸彩, 原田芳雄, 小栗旬,成宮寛貴, 小橋賢児 |
昔観たことがあったが、もう一度見直してみた。
スケールは大きいが、それほどぶっ飛んだアクションはなかった。
一人 対 数百人という構図はスケールが大きく見せ場ではあるが、大体はザコな敵がオーバーに「ワーッ!!」と叫んで斬りかかって、逆にバッサバッサと斬られていく。
あれだけ刀を大きく振りかぶっていたら、そりゃ斬られるだろう。
相手に斬られやすいように飛び込んでいる。
勝新の『座頭市』は、あまりのスピードに度肝を抜いたが、『あずみ』はイマイチ。
オダギリジョーは不気味で怖くイイ感じであった。
北村龍平監督の弱点は女性を描くことかもしれない。
男性はカッコ良く描こうという気持ちが見えるが、どの作品も女性がパッとしない。
『あずみ』の物語を二時間でまとめ上げたのはスゴイが。
『グッドモーニングショー 』 緊迫感も何もなく薄っぺらい。 古臭くて人間も描かれていない。 監督:君塚良一 出演:中井貴一, 長澤まさみ, 志田未来, 池内博之 |
映画館で予告編を観た時は面白そうだったが、全然ダメ。
立て籠もった犯人にアナウンサーが呼ばれ立往生する物語だが、全然緊迫感がない。
過去のワケあり事件を描くも、テキトーで超薄っぺらい。
人間をバカにした映画。全員が浅くて薄っぺらい。
古臭い、二十年前のドラマから時が止まっている。
『ダウン・トゥ・ヘル』 自主映画のパワフルな作品!! 技術を超越した狂気に感動!! 監督:北村龍平 出演:森野宣彦, 北村龍平, 宮田昌美,後藤晃司, 岡本吉宏 |
北村龍平監督の自主映画で、たった6人、30万で10日間で制作した映画。
インディーズの映画祭でグランプリを獲った作品。
いわゆる「役者」を起用せず仲間内で撮ったのだろうが、演技が上手い下手とか、そんなものを超越したパワフルさと凄さがある。
崖を飛んだり、転げ落ちたり、本気でやっている。
ストーリーは単純だが、その単純の中に色んなアイデアで工夫して楽しませてくれる。
例えば、技術のあるプロボクサー同士のファイトが何の白熱もないまま判定になるよりも、技術はないが素人の本気の殴り合いの方が白熱する場合もある。
技術を超越した面白さが、この作品にはあった。
『この世界の片隅に』 自分の感性を疑う評価。 絶賛されてる映画だけど・・・。 監督:片渕須直 出演:のん, 細谷佳正, 稲葉菜月, 尾身美詞 |
どこもかしこも絶賛の嵐の作品なので、自分の感性を疑った。
皆がイイと言っているものを、あえて悪いと言うヤツがいる。
本作が、徹底した取材を行い、当時の街並みや人々を再現して細かな映像表現をしたのも理解出来るが、でも内容は・・・。
戦争によって大事なモノが奪われたり、悲惨さを描いたり、その中で健気に生きていく主人公に意外性も何もない。
戦争というものを題材にすれば悲しいのは、想像の範囲内。
病気を題材にして病人が死んで「ワーッ!」と泣く姿は、「大体そうなるやろう」と身構えているので泣けない。
戦争を題材にすることで、大体の展開が想定出来る。
本作に期待し過ぎたということもあるかもしれない。
劇場ではなくスマホで観たということも影響あるかもしれない。
色々考えてみたが、本作を絶賛出来なかった自分にガッカリした。
皆が「これ美味いで~!」と食べている時に、自分だけがわからない孤独感。
最近では『ラ・ラ・ランド』観た時も、こんな感じの想いであった。
しかし映画は各々の好みなので、仕方ないと諦めよう。
のんの声優は良かった。
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