独特な空気感のある映画たち。
黒沢清監督作品は不穏な空気感がいつも印象的であり、是枝裕和監督は日常の間が印象的だ。
『ドッペルゲンガー』 謎だらけ。全員おかしい。 物語後半のバカバカしさが好き。 監督:黒沢清 出演:役所広司, 永作博美,ユースケ・サンタマリア, 柄本明, ダンカン
|
自分と似た顔のもう一人の自分、ドッペルゲンガー現象というものがあるが、その現象については謎のまま物語は進んでいく。
もう一人の自分は自分よりもアグレシッブであるが、欲望に歯止めが利かず暴走する。
だが後半は役所広司がまるでもう一人の自分と入れ替わったように欲望のままにアグレッシブに動くようになり、特に車を運転しながら口笛を吹くシーンは秀逸であった。
ユースケ・サンタマリアもおかしいし、柄本明もおかしい、ついでに永作博美もおかしい。
黒沢清監督特有の不穏な空気感が漂いまくる。
ラストシーンも好きだし、音楽のチョイスもイイ。
『バイバイマン』 アイデアが一番面白い。 その発想を生かしきれず。 監督:ステイシー・タイトル 出演:ダグラス・スミス, ダグ・ジョーンズ,キャリー=アン・モス, フェイ・ダナウェイ |
「バイバイマン」という名前を知っても聞いても言っても考えてもいけない。バイバイマンに殺されてしまう。そのアイデアは非常に面白いが、そのアイデア以上のものが見当たらず。
幻覚や幻聴に怯え人間同士で殺し殺されるのなら、別にバイバイマンじゃなくても良さそうだ。
バイバイマンに、バイバイマンの手によってハッキリと殺された方が面白い。
幻覚や幻聴を使いバイバイマンに追われたなら恐怖と面白さは増幅した。
ホラー映画の新しいキャラクターとして、誕生出来る程のアイデアがもったいない。
『歩いても 歩いても』 何ともない家族の会話。 二時間持たせる是枝マジックに脱帽。 監督:是枝裕和 出演:阿部寛, 夏川結衣, YOU, 高橋和也 |
会話が超リアル。
家族でフツーに話しているような会話を延々と見せているが、全然飽きない。
素人っぽい人を使ってリアリティーを出す作品は結構あるが、バリバリ有名な役者を使ってリアリティーを出すのはスゴイ。
是枝監督が脚本も担当しているが、細かな日常会話の部分はどんな脚本が書かれているのだろうか?
大した物語の起伏もなく延々と見せるのはかなりの勇気がいる。
多くの場合は退屈させてしまうが是枝監督のマジックにかかると、じわじわと自分の内側に繊細な人間ドラマが効いてくる。
何気ない会話のひとつひとつに人物の内情が描かれていたり、仕草や空気感で全てを表現している。
他の人がマネをすると10分位で観るのが退屈になるのではないか。
『7500』 清水崇監督のハリウッド作。意味不明。 脚本も日本人が書いた方が良かった。 監督:清水崇 出演:ライアン・クワンテン, エイミー・スマート,レスリー・ビブ, ジェイミー・チャン |
何かが始まるようなソワソワさせる冒頭部分は結局ムダ。
キャビンアテンダントたちの乗客の噂をするような会話もウザイし、潔癖気味の婦人もウザイ。
ウザイ奴らだらけでギャーギャー喚こうが死のうが知ったこっちゃない。
冒頭から感情移入させるどころか、感情が離れた状態で恐怖感を煽られても怖くも何ともない。
脚本も日本人が書いて欲しかった。
清水崇監督と日本人の脚本でハリウッド作を作って欲しかった。
この記事へのコメントはありません。