Netflixオリジナルアニメ『DEVILMAN crybaby』を観たのだ。
ご存知、永井豪原作の漫画を現代にて新しく作られたのだが、名作過ぎる作品だけになかなか映像化は難しかったであろう。
コミックでは読んだことがないが、子供の頃、関西で夕方の再放送でしこたま『デビルマン』を観たものだ。そりゃもう主題歌から何から、最高のアニメだった。それが現代版でアニメになるというのなら観ておかなきゃいけない。
『DEVILMAN crybaby』 独特の画風。 新しい表現のデビルマン。 監督:湯浅政明 出演:内山昂輝, 村瀬歩, 潘めぐみ, 小清水亜美, 田中敦子 |
監督は、湯浅政明。『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』『ピンポンTHE ANIMATION』『マインドゲーム』などの作品を手掛けて、世界でも評価されている監督らしいが、それらの作品は未見である。
一番気になったのは、その画風だ。
「なぬ!?これがデビルマンだとぉ!!」あまりにも線が細くシンプルで、ぶっとい線で荒々しいイメージするデビルマンとはかけ離れている。やはり昭和のデビルマンのイメージは、強く僕の脳裏に刻まれているのだ。
先ずはその現代版の画風を受け入れることが出来るかどうかで、今作を違和感なく観れるかどうかが決まる。
正直好みではなかったが、作品の観やすさと物語が一話20分位で展開のテンポが早く、気負いなく観れる作品に違和感は消え画風の面白さと長所が見えてきた。
昭和のデビルマンを彷彿させて男臭く描くことは一部のコアなファンを熱狂させるかもしれないが、新しいファンが付くのは難しい。
若い世代や女性、今までにデビルマンを観たことがなかった人たちにも受け入れやすいカタチで表現されている。
現代的な表現で描く本作は、テクノロジーの使い方に目が行く。ノートパソコンやスマホは昭和のデビルマンにはない。ツイッターやLINE、ニコニコ動画的な描写も現代版ならではだ。
登場人物にラッパー達が出てきて、ラップを劇中で歌いながら進行していく試みも斬新。
そして『デビルマン crybaby』というだけあって、デビルマンがよく泣く。とにかく泣くのだ。
悪魔の姿になれども人間の心を持っていることで、主人公の不動明は苦悩して葛藤する。自分のことでは泣かないが、人のために泣く、とても心優しいヤツがデビルマンになったのだ。
名言であるカッコイイ台詞「俺は悪魔じゃない!デビルマンだ~っ!!」が、よくわからなくて笑えた。
デビルマンじゃなくても成立しそうな作品ではあったが、デビルマンじゃなかったら話題にもならず魅力もない。
一話20分位の全10話でサクサクと観れる感じが、ネット配信や現代のスタイルによく合っている。
物語展開もテンポが良く、だるい場面が全然なかった。
大事な人たちが次々と死んでいったり、戦闘シーンも短く、感情移入は薄くなるが、物語の尺を考えると仕方ない。逆によくこれだけの物語を全10話に収めたなと思うと、湯浅政明監督の手腕に唸る。
画風や現代のテクノロジー、新しいキャラクターなど、しっかりとオリジナリティーを入れつつも、原作を大事に扱っている。どうやら湯浅監督の作品の方がコミック原作に忠実らしい。
永井豪の『デビルマン』のコミックをかなり読みたくなった。
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