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『縄文文化の頂点』縄文は生きている!

本美術史を語るうえで、「日本」という国、また「美術」という概念がなかった縄文時代の造形を、現代の日本において外す事は出来ない。

秋の紅葉深まる山梨県立考古学博物館へ、縄文の息吹を感じに行ってきたのだ。

今回の特別展は『縄文文化の頂点』。

紅葉も、季節が織りなすアートなのである。

ナウマンゾウは考古学博物館に向かって吠えている。

いざ、行かんとす!

縄文でインスタ映えとは、古きようで新しきものなり。

 

『縄文文化の頂点』

 

15000年前から3000年前まで続いたという縄文時代。一説には、もっと長かったとも言われているが、とにかく長い。僕たちの祖先が確かにその時代で生活していたのだ。

縄文土器は何故に不思議な幾何学模様で描かれているのであろうか?

ただの器としての機能性には何の意味もない。やはりアートを感じざるをえない。

渦巻や三角形、菱形等の模様に加えて、カエルやヘビ、イノシシを描いている土器もあるのだ。

見れば見るほどに謎は解けるばかりか、謎は深まるのである。

縄文土器を日本美術史で語るようになったのは、1952年に岡本太郎が執筆した「縄文土器論」が始まりだろうか。

岡本太郎が縄文土器に魅せられたように、縄文土器を見ていると岡本太郎の作品への発見があった。

それは岡本太郎の代表作「太陽の塔」である。

縄文土器の人面把手付深鉢は、口縁部と胴部に人面があるが、これはまさに太陽の塔である。岡本太郎は縄文土器に影響を受けて制作したと思われる。

口縁部を母親、胴部を子供と見立て、出産を表現していると考えられているが、縄文人に聞いてみないとわからない。

土偶も太陽の塔に見える。

両手を広げて堂々と立っている姿もまた、太陽の塔なのである。

縄文文化という壮大な歴史を前に現代の地球で暮らす僕は、自分がちっぽけな存在であると認識するのと同時に、とてつもなく果てしないロマンを感じるのだ。

土の中から発掘された縄文土器たちは静かに眠っていたのではなく、一万年以上も続いた縄文は、うねりを上げて僕の目の前で「生きている!」のである。

岡本太郎と太陽の塔 増補新版

平野 暁臣 (著)

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常設展

 
常設展も立ち寄ってみる。

旧石器時代から近代までを山梨県を通して振り返るタイムトラベルだ。

旧石器時代、縄文、弥生、古墳時代を旅して、古代(飛鳥、奈良、平安)を歩く。もう感覚がおかしくなっていて、平安とか見てると「最近やん」と思ってしまう程である。

中世(鎌倉、室町、安土桃山)、近世(江戸)、そして近代。鎌倉も江戸も実に最近の事である。

数千年後の未来は、数万年後の未来は、人類が生きているのかはわからないが、彼らは、今僕たちが生きている時代をどう振り返るのだろか?

アートはどのような変化を遂げているのであろうか?

岡本太郎の太陽の塔は、その時代にも残っていて欲しいと願うのだ。

縄文土器ガイドブック―縄文土器の世界

井口 直司 (著)

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