静岡市葵区西草深町にある静岡近代美術館で開催されている『シャガール展』へ8日に訪れた。
『シャガール展』が開催されていることに興味を抱き、蒸し暑さと降っては止みの気まぐれな雨に付き合いながら、住宅街の中に立地する美術館に辿り着いた。
マルク・シャガールについて深い知識があるわけではない。
感じたままに鑑賞して世界中で人気のあるシャガールの魅力に触れてみたい。
館内は写真撮影不可なので、記憶を頼りに感想を綴っていく。
シャガールの作品が展示されていたのは10点、その幻想的で詩的な作風に好奇心が掻き立てられる。
先ず最初に画家とヌードモデルが描かれた『パレットを手にした画家』から、『画架』『大きな果物籠』と並ぶ。
僕が一番興味を惹きつけられたのは『魔笛』だ。
『魔笛』が意味するものは全く知らないが、未知の生き物が描かれていたり、見れば見る程に不思議な作品である。
ということで記事を書きながら『魔笛』について調べてみる。作品をご存知ない方は是非ともネットで画像を検索していただきたい。
調べた結果『魔笛』はニューヨーク・メトロポリタン・オペラ座で上演されたモーツァルトの「魔笛」(1967年2月19日)の初演のために制作されたポスターだったのだ。
なるほど。ポスターということならば不思議な世界観も理解出来る。そもそもシャガールがポスター制作を多く手掛けていたことも知らなかった。
ポスターが意味する物語は、魔法の笛を携え王子タミーノが夜の女王の娘パミーナを救い出して彼女と結ばれるというもので、オペラに登場する妖精や動物たちを描いた作品だ。
「妖精だったのね」と把握出来れば更に深い目で作品を感じ取れ、感覚で描いているようで考え抜かれた色使いやタッチ等の技術に唸る。
『トゥルネルの波止場』も一体どういう意味合いがあるのだろう。『オペラ座』、そして『黄色い花と夫婦』、『サン・ポールのあけぼの』『マーグ画廊のポスター』。
『天使たちの湾』は花束を抱えた人魚が大きな月夜の空に浮かび、海には大きな魚が見える。シャガール・ブルーと呼ばれる幻想的で美しい作品はシンプルで無駄がない。
シャガールの描いた作品の意味合いを予備知識もなく追求しようとすれば難しい。例えば何を題材にしたポスターだったのかが分かれば少し見えてくる。作品について詳細に解説されたカタログでも読みたくなる。
静岡近代美術館では、企画展の他にも館長の大村明氏が収集された名画のコレクションを堪能することが出来るのだ。
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