鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』を初鑑賞。
『ツィゴイネルワイゼン』 まるで仙人の描いた日本画。 そして原田芳雄の異様な存在感。 監督:鈴木清順 出演:原田芳雄 大谷直子 大楠道代 |
『ピストルオペラ』『オペレッタ狸御殿』などの鬼才、鈴木清順のセンスが凝縮された「浪漫3部作」の不条理ドラマ第1弾。
1980年、東京タワーの下に銀色のドーム型テントの移動映画館「シネマプラセット」を建てて上映され、ロングラン・ヒットしたことでも話題になった作品。
同年度のキネマ旬報ベスト・テン第1位ほか数々の受賞に輝く名作。
「ツィゴイネルワイゼン」の蓄音盤に作曲家サラサーテの声が入っているという内田百間の「サラサーテの盤」や短編小説群を原作に、現実と非現実が錯綜(さくそう)する世界が描かれている。
※内田百間の「間」は、門構えに月
キャストには『大鹿村騒動記』の原田芳雄、彼とのコンビで『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』や『赤い鳥逃げた?』を放った映画監督でもある藤田敏八など、異色にしてそうそうたる顔触れが結集。
鈴木清順監督の斬新かつ大胆な幻想譚、シュールを極めた映像と世界観は、鈴木監督でしか創造出来ず、時がたっても色あせない。
旅に出た、士官学校教授の青地豊二郎(藤田敏八)は、友人・中砂糺(原田芳雄)の無頼に振り回されていくうちに、いつしか現実とも幻ともつかない世界に惑わされていく。
その途中、彼らは弟の葬式に出席してきたという芸者の小稲(大谷直子)と出会い、それから1年、中砂から結婚の報を受けた青地は、彼の家を訪ねることに。
だが、妻だという園(大谷直子)が小稲とうり二つであることに驚かされて、やがて園は生まれたばかりの娘を残して逝去。
中砂の様子を見に行く青地だが、今度は小稲が乳母として娘を抱いていることに驚き、青池の妻(大楠道代)と中砂の妻(大谷直子)も、その世界に巻き込れていく。
かなり芸術が強めの映画。鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』を初めて観た。
達人の、仙人の描いた日本画を見ているような気持ちになった。
僕のような若輩者が理解出来るわけもなく、その筆のタッチを追いかけるのに精一杯なのだ。
映像の「画(え)作り」に非常にこだわっていることは容易にわかる。
映画に命をかけている監督やスタッフ、出演者の底知れない気迫を感じながら、現代より不便な時代に心血を注いで作られた作品に敬服するばかりである。
現代の日本では作れないだろう。
例え作ってみたとしても、現代の日本人に受け入れられるのかも疑問だ。
そして原田芳雄の異様までの存在感。
何故、この時代に活躍していたスターは黙っていても映像を持たせる程の迫力があるのだろうか。
不思議と色んな映像が脳裏に焼き付いたように思い出される、といったところで「カット、カット」。
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