ベン・アフレック監督・製作・主演の『アルゴ』を観た。
『アルゴ』 実話を元にして脚色したフィクション。 ベン・アフレックの才能が見える。 監督:ベン・アフレック 出演:ベン・アフレック, ブライアン・クランストン, アラン・アーキン |
『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』『パール・ハーバー』のベン・アフレックが監督・製作・主演を務めて、イランで実際に起こったアメリカ大使館人質事件の救出作戦を描いたサスペンスドラマ。
12年度・第85回アカデミー賞で7部門にノミネート、作品賞、脚色賞、編集賞の3部門を受賞。
『リトル・ミス・サンシャイン』のアラン・アーキン、『アーティスト』のジョン・グッドマンなど、ベテラン勢が脇を固める。
2012年製作/120分/G/アメリカ
原題:Argo
配給:ワーナー・ブラザース映画
1979年11月4日テヘランで、イラン革命が激化して過激派がアメリカ大使館を占拠する。
52人もの人質を取るという事件が起きてパニックの中、アメリカ人6名が大使館から逃げ出してカナダ大使の自宅に潜伏。
救出作戦のエキスパートとして名をはせるCIAエージェントのトニー・メンデス(ベン・アフレック)は、6名が過激派たちに発見されて殺害されるのも時間の問題だと判断して、彼らを混乱するテヘランから救出する作戦を立案する。
しかし、それは前代未聞で大胆不敵、そして無数の危険が伴うものであった。
実話を元に製作された本作であるため、1979年の街並みや車、人々などの描写が当時の時代をリアルに表現されており、ハリウッド映画の凄さが肌感で伝わってくる。
監督・製作・主演がベン・アフレックで、彼の有能さが存分に理解出来る映画なのだ。
実話を元に作られた本作は、その事件の事実を知ると「そりゃ映画化したくなるわなぁ」という気持ちになるほど突拍子で無謀な救出作戦である。
「アルゴ」という架空の映画製作をでっちあげて、バレれば殺害されるという危険度MAXの状況下に飛び込み、イランからアメリカ人6人を救出するという無謀過ぎる作戦。
しかし無謀過ぎるがゆえに「まさか、そんなバカなことをするワケがない」と相手に思い込ませることが出来たのかもしれない。
僕が非常に気になったのはラストのクライマックスシーンである。
何とかイランを脱出するための飛行機に乗り込んだ彼らだったが、イラン側にその「嘘」がバレて、彼らの乗った飛行機が追われる。そしてギリギリのところで離陸して、難を逃れるというシーンだ。
そこは大きな見どころであり、手汗握る非常に重要で映画では必要不可欠なシーンではあるが、そのシーンを観た時に僕は「この救出作戦失敗やん!」と思った。
いや、あんなギリギリのもう30秒遅かったら身柄を拘束されていたような作戦、絶対にダメやろ!と。
作戦が失敗というよりは、6人の身元や素性がバレたため追われることになったのだが・・・。それにしても「救出成功!」と手放しに喜べる状況だとは思えない。
命からがら救出出来たので美談として語られるが、もしも飛行機を止められていたら美談もクソもない。
この映画のクライマックスが非常に疑問であったため調べてみると、やはりあのクライマックスはフィクションであったらしい。
実話を元にして作られてはいるが、丸々全てが事実ではないということだ。
映画をスリリングなものにするために、本作では色々と脚色がなされている。
またイラン側も「史実と異なる」ということで『アルゴ』に対抗した作品を製作すると発表しているらしい。
映画を面白くするために事実通りでは面白くならない。実話を元にフィクションを交えて脚色されることによって、非常にスリリングでハラハラする映画になるのだ。
映画を通して実際に起きていたその事件を知り、時代背景や社会、当時の人たちの生きた心地がしない心情が伝わってくることは、僕たちの学びのキッカケにもなる。
エンタメに消化させながらも、そんな機会を与えらるということは悪いことではない、といったところで「カット、カット」。
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