内容を全く知らないで、『望み』を観た。
『望み』 普段から嫌われているから犯人扱いされた? 周囲に味方が少なすぎる。 監督:堤幸彦 出演:堤真一 石田ゆり子 岡田健史 |
雫井脩介の同名ベストセラー小説を堤幸彦監督が映画化したサスペンスドラマ。
主演を務めるのは堤真一と石田ゆり子。
脚本は、『八日目の蝉』『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』などの奥寺佐渡子。
2020年製作/108分/G/日本
配給:KADOKAWA
一級建築士の石川一登と校正者の妻・貴代美は、高校生の息子・規士や中学生の娘・雅とともに、高級邸宅で裕福な生活を送っていた。
規士は怪我でサッカー部を辞めて以来、遊び仲間が増え無断外泊することが多くなり、ある日、規士が家を出たきり帰って来なくなり連絡すら途絶えてしまう。
やがて規士の同級生が殺害されたニュースが流れ、規士が事件に関与している可能性が高いという。
行方不明となっているのは三人、そのうち犯人と見られる逃走中の少年は二人。
規士が加害者なのか被害者なのかわからない状況下で、加害者であっても息子に生きていてほしい貴代美と、被害者であっても彼の無実を信じたい一登の想いが交錯する。
映画の内容は全く知らなかったが、「きっと暗い物語のサスペンスであろう」という予想で本作を観た。
邦画は、こういったサスペンスものを題材にするのは得意なので、この路線を追求していくことはイイことかもしれない。
ハリウッド映画並みの大作は作れないし、韓国映画のようなアクションも作れない。邦画はJホラーやサスペンスを徹底的に打ち出していくことが海外で通用する道なのかもしれない。
小説原作×サスペンス映画という図式であれば、大きくコケることはない。
『望み』は、帰宅しない息子が殺人事件の加害者か?被害者か?という状況下で苦悩する家族の物語で、その渦巻く人間模様に感情を揺さぶらされるサスペンスドラマである。
本作では、役者の演技力が大いに作品の善し悪しに関わってくる。
堤真一の頼もしい父親像から心が崩れて涙を見せる繊細な演技力は申し分なく、石田ゆり子の凛とした母親像から心が疲弊しながらも息子を想う演技力も良かった。
ただ美形家族で両親の若々しさにもリアリティーは欠けるが、祖母まで若いときたもんだからリアリティーがない。
まだ加害者なのか?被害者か?ハッキリとわからない段階で、SNS上での憶測は仕方ないとしても、ここまで周囲の人たちが「殺人犯扱い」することにも大きな違和感を感じた。
息子の同級生である女生徒は味方になってくれていたが、あまりにも味方が少ない。
イケメンサッカー部なので女生徒の人気は高いとしても、男友達で味方になってくれるヤツはいなかったのか。あまりにも人望がない息子である。
この夫婦も、周囲の人たちから嫌われていたのかもしれない。
だから被害者の可能性もあるのに犯罪者と決めつけて、この機会に怒りを暴発させたのかもしれない。
竜雷太なんて、もう「殺人犯」だって決めつけているもんね。
普段から皆に好かれていた夫婦であったら、こんな酷い仕打ちを受けることはないだろう。
それにしてもマスコミがウザかった。
松田翔太も意味不明な役どころだった。
僕はこの映画を観ながら「家族って面倒くさいなぁ」と思った。こんな事件に巻き込まれて家庭内でグチャグチャになるぐらいだったら、僕はひっそりと一人で暮らしたい。
しかしながら色々と考えさせられる内容であった、といったところで「カット、カット」。
この記事へのコメントはありません。