阪元裕吾監督の『最強殺し屋伝説国岡 完全版』を観たのだ。
『最強殺し屋伝説国岡 完全版』 ドキュメンタリータッチで面白さ倍増! お笑い要素を盛り込んだ緊張と緩和。 監督:阪元裕吾 出演:伊能昌幸 上のしおり 吉井健吾 |
ある一人の殺し屋の日常や仕事の様子を描いたフェイクドキュメンタリー。
監督は、『ベイビーわるきゅーれ』の阪元裕吾。
ドラマシリーズ『龍虎の理(ことわり)』の伊能昌幸が主演。
『恋するけだもの』の上のしおり、『ファミリー☆ウォーズ』の吉井健吾らが出演。
2021年製作/93分/G/日本
配給:キングレコード
女性二人組の殺し屋が登場する新作映画『ベイビーわるきゅーれ』のシナリオ作りに励んでいた阪本監督は、京都最強と呼ばれるフリー契約の殺し屋・国岡昌幸に取材をする。
国岡は友人や恋人と過ごす普通の人と同じような日々の生活を送り、殺しの仕事の依頼を受け淡々とこなしていたが、ある日依頼元との連絡ミスで良からぬ事態へと転じていく。
そのトラブルはやがて肥大化し、国岡は大殺戮を繰り広げることに・・・。
殺し屋を追うドキュメンタリーという企画自体は面白味があり、その企画を思い付いた以上の中身が伴っているのかを疑問視していたが、いざ観てみると「おっとどっこい、面白いやないの!」と釘付けになってしまった。
同・監督の『ベイビーわるきゅーれ』が非常に面白かったので本作がツマラナイという心配はないにせよ、「殺し屋ドキュメンタリー」がどんなモノなのかが見えなかったのだ。
ドキュメンタリー風を装うと、どうしてもワザとらしさが見えてしまい、結局「ドキュメント」にも「フィクション」にも消化されない中途半端な作品になってしまいがちなのだが、本作はドキュメンタリータッチで描くことによって面白さが格段に倍増している。
本作がドキュメンタリータッチではなく、まんま「殺し屋 国岡」の映画を作っていたとしたら、どうなっていたのだろう?と思う。
ドキュメンタリータッチで描くことによって、国岡の生活、国岡のトボけた感じ、クレーマーとのやり取り等、色んな面白ポイントが発生したのだ。
お笑い好きであろう阪元裕吾監督のお笑い要素を散りばめた演出が、バイオレンスの緊張と緩和に大きな効果をもたらしている。
芸人が映画の中にお笑い要素を盛り込むと、かなり「しつこい」濃い味の笑いが映画の邪魔をすることがあるが、阪元裕吾監督はイイ塩梅でお笑いと映画のバランスを崩さずに作り上げている。
監督はまだ二十代という若さだが、変な大人に汚されることなく、このまま自分の感性を大事にして突き進んで行って欲しい。
YouTubeでは『殺し屋密着チャンネル』も配信しているので、今後の動向もチェックしていきたい。
癖になりそうな「殺し屋 国岡」、非常に楽しめる作品であった、といったところで「カット、カット」。
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