稲川淳二の実話怪談を漫画家した名作コミック『生き人形』の続編を読んだのだ。
『続・生き人形 完全版』 永久保 貴一 (著) |
前作『生き人形』から約二十年の時を経て『続・生き人形』が漫画化された。
年月を経て永久保さんの絵柄も洗練されており、約二十年ぶりに「稲川淳二 × 永久保貴一」コンビの化学反応が見られると思うとワクワクする。
怪談師として不動の地位を築いた稲川淳二と『カルラ舞う!』等の代表作を生んだ永久保貴一が、何の因果か「生き人形」を縁として再び繋がった。
そして『続・生き人形 完全版』では、本書丸々一冊が「生き人形」の物語が詰め込まれている。
『生き人形』では稲川淳二の実話怪談を漫画化して物語を語っていったが、『続・生き人形』は漫画家・永久保貴一さんの体験をメインに描かれる。
稲川淳二が主役で物語が展開されるわけではなく、永久保さんが主役で「生き人形」にまつわる物語が展開されていくのだ。
稲川さんと再会した永久保さんは『生き人形』の続きの怪奇現象を稲川さんから聴かされ、二人の会話形式の中で「生き人形」の新しい物語が綴られていく。
「生き人形」のおかっぱ頭の少女は不思議なことに「生き人形」に関わる色んな人のもとに姿を現す。
無論、「生き人形」を題材にして漫画を執筆する永久保さんのもとにも現れるのだから恐怖でしかない。
しかし今回の『続・生き人形』で僕が関心を寄せたのは、永久保さんの周囲にいる能力者たちだ。
彼らは凄い霊能力を持ち、結界を張り、封印をして、「生き人形」を供養する。
もちろん「生き人形」が巻き起こす怪奇現象も興味深いが、彼らの霊能力の凄さに驚愕せざるを得ない。
漫画の後半には稲川さんは全く登場せずに永久保さんの身辺で起きた怪奇現象を中心に描かれ、稲川淳二の怪談と永久保貴一の漫画が合わさって「生き人形」の話は完結するように思われる。
「生き人形」の話をすることを躊躇する稲川さんだが、是非とも永久保さんの身に起きた怪奇現象も合わせて怪談で語って欲しい。
永久保さんの知り合いの能力者たちが「生き人形」を供養してくれたことで、もうこれ以上の怪奇現象はないだろう。
だが「生き人形」の怪談ファンたちにとっては、「おいおい、何、供養してくれてんねん。こっちは更に続くエピソードが聴きたいねん。勝手に解決するなや!」という声が上がるのも否めない。
複雑な心境ではあるが、やはり誰かが事故や死に至る程の怪奇現象は止めておくべきだろう。
本書を読むことで読者にも少なからず怪奇現象が起きているとの報告を目にするが、僕も読んだ翌日に胃が痛くて苦しむハメになったのは霊障なのか、それとも単なる病的なものなのか。
この記事を書きながら微熱が出てきた感があるので、ここで書き終わらせておこう。
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