静岡県立美術館で開催されている『蜷川実花展』に行ってきたのだ。
写真のことはよくわからないが、ましてや写真家のこともよくわからないのだが、写真家・蜷川実花の写真は圧倒的に目を惹く。
以前から気になっていた写真家である。
鮮やかな色彩が、激しく優しく飛び込んできて目の前をいっぱいにするのだ。
現実世界のものが彼女の感性によって美しく表現され、「世界は美しいのだな」ということを思わせてくれる。それが花であったり、金魚であったり、人物であったり。
自分の目では確認出来なかった世界の美しさを、蜷川実花は気付かせてくれるのだ。
蜷川実花の手にかかれば、被写体が魔法をかけられたように美しい変貌をする。
マネをしたくなる美しい世界観だが、実はマネをするのは難しい。
鮮やかな花を敷き詰めればそれでイイなんてことはなく、ひとつひとつ花びらの一枚一枚に至るまでの創作と偶然の計算が、蜷川実花という類い稀なる感性で、独特の鮮やかな美しい世界観を作り上げているのだ。
展示場は写真撮影可能なスポットがあり、思わずスマホで写真を撮りたくなる。
光と影の付け方や細部にまで渡る色彩の繊細さは女性の感性だ。ここまでの微細な技術は男には撮れないだろう。
花のどアップの写真でも、花びら一枚の陰影によって様々な色を見せる。花一輪を表現豊かに撮影することが出来るとは感動的である。
オッサン一匹、花に魅せられて飛ぶ。
写真撮影が可能なスポットがあると最初から知っていれば、自撮り棒を孫悟空の如意棒のように操って、もっとちゃんと撮影したかった。
写真撮影は出来ないスポットで、モノクロ写真もいくつか展示されていて、カラフルな世界観とは違った表現が、それもまたイイのだ。
色鮮やかで煌びやかな写真を武器にしながらも、モノクロ表現でインパクトを与えてくれるのは驚きである。
被写体の魅力を捕らえるのが上手く、蜷川実花の目(視点)は、どうなっているのだろう?と不思議でならない。
日常風景での日々の暮らしの中でも、とても繊細に感じ取っているはず。
簡単に見落としてしまいがちな、ひとつひとつの粒子を蜷川実花の目は決して見落とさない。
芸能人を被写体にした写真も展示してあったが、息を吞む程に凄い。
蜷川実花に「撮られたい」著名人は沢山いるのではないだろうか。新しい自分の魅力を引き出してくれる、魔法をかけられたような気持ちになるはずだ。
『蜷川実花展』とてもイイ刺激になった。
この記事へのコメントはありません。