『イラストノート』No.42を買った。
今回の『イラストノート』は、気になる人が盛りだくさんだ。絵本作家ののぶみさんや、イラストレーターの中村佑介さん、そして、キングコング西野さんが特集されている。
今までの絵本の概念を超えた
『イラストノート』の表紙を飾っているのが、大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』だ。
『イラストノート No.42: 描く人のためのメイキングマガジン (SEIBUNDO Mook)』 |
この絵を見ただけで、いわゆる絵本の概念を超えたと思った。
雑誌のインタビューでも触れているのだが、「この絵本は子供向けですか?」と聞かれることが、時々あるという。
大人は勝手に子供のことを「自分よりも劣っている」と思っている。
その質問が、とても失礼であることを大人は気づかない。子供は皆、くまさんやウサギさんの絵本が好きだと思っている概念。大人が勝手に「子供はこういうモノが好きであろう」というサイズダウンしたモノを与えることによって、子供の選択肢を奪っているのだ。
子供の頃の西野少年は、戦車のプラモデルのパッケージに描かれた絵を見て「スゲー!」と興奮していたと言っていた。お父さんが面白そうに読んでいる『三国志』の本を読んでみたり。
それがその時に例え理解出来なかったとしても、興味を持つという好奇心が大切なのだ。
大人は勝手にその好奇心さえも子供から奪っていやしないか。
確かに子供の頃は、大人の会話が気になっていたり、外食しても親の財布状況にも気をつかっていたし、欲しいものがあっても我慢をしていたりした。
子供は大人に気をつかったり、実際は今でも子供の頃から中身はあまり変わっていない。なのに大人は忘れてしまう。自分が子供の時に感じていたことや、子供の時に考えていたことを。
しかし、僕も西野さんの絵本を見た時に、僕自身の概念もぶち壊された。
今までに見たことがない絵本だったのだ。
まるでアニメ映画の世界だ。自分が思っていた絵本の世界ではなかった。
僕が子供の頃に、西野さんの絵本に出会っていたのなら、夢中になってページをめくっていたであろう。実際子供の頃は、同じマンガ本を何度も何度も読んでいた。本を開いてはマネして模写してみたり、気に入った一冊は何度も見返した。西野さんの絵本にはその緻密な描写から、何度もページを開かせる心理をくすぐってくれる。
才能と地道な作業
分業制で作った『えんとつ町のプペル』、制作段階での、その発想がまた面白い。
クラウドソーシングで人を集めて、クラウドファンデイングで制作資金を集めた。
西野さんの発想力は毎回驚かされる。「才能」という言葉で片付けてしまうのは、西野さん的には本意ではないだろうが「才能」が溢れているのは間違いない。
だけど実際はコツコツした地道な作業をひたすらにやっている人なのだ。自身のサイトで販売した『えんとつ町のプペル』の膨大な数のサイン。膨大な数の宛名を書いてレターパックに詰めて発送する。昨年の独演会もそうだった。10公演のチケット4000枚以上を手売りで売って、チケットにサインをしてファンと一緒に写真を撮る。
そんなことを他に誰がしている??
芸人になったデビューの頃から、自分の体型を維持するために毎日ジョギングしている。ペンを持ったら、一日20時間以上も絵を描いている。間違いなく「才能」がある。しかし、誰もがやらない圧倒的な地道なことをコツコツやっている。
西野さんに刺激を受けて感化される人は多い。その表面だけをマネしようとする人はいるが、その裏側の圧倒的な地道な作業をマネする人は、なかなかいない。イチロー選手のプレーをマネしたいと思っていても、イチロー選手の地道な練習をマネする人はいないように。
面白い未来
『イラストノート』では、『えんとつ町のプペル』の映画化についても触れていて、
「制限の中にこそ無限の可能性がある」
という言葉に唸った。
また次回作『チックタック~約束の時計台~』の絵コンテも公開されているが、今現在のキャラクターは、また全然違うモノになっている。
絵本以外にも多くのプロジェクトが稼働している。
西野さんが何かをすればその都度批判する一部の人達がいるが、違和感を感じて批判する前にその真意を考えた方がずっと自分のためになる。否定や批判を承知の上で行動しているのは、その内側に考え抜かれた「面白い未来」が必ずあるからだ。
『えんとつ町のプペル』は、国内外で「光る絵」の展覧会が開催されて、映画公開への制作が進んでいる。
全ページをWebで無料公開したら、誰も買わなくなるどころか、Amazonでランキング1位に。
「絵本で100万部売る!」「ディズニーを倒す!」僕もプペルを愛するプペラーとして、その姿を見たい。
全ては面白い未来につながっていくのだ。
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