韓国映画はパワーがある。
韓国国内では映画を作ってもすぐに海賊版が出たり盗作されるので、最初から世界をマーケットに映画を作っている。
日本映画は国内でマーケットが成立するためアイドル映画や漫画原作もの等ばかりで、世界への意識はない。
日本映画は10億でヒットと言われ、2億かけて映画を作って10億回収出来ればそれでいいという目論見。
「新感染」は、すでにハリウッドでのリメイクが決まっているらしい。
『呪怨 ザ・グラッジ3』 監督は清水崇ではないが、 呪怨の世界観を崩さずに見事に描いた。 監督:トビー・ウィルキンス 出演:マシュー・ナイト, ショーニー・スミス,マイク・ストラウブ, アイコ・ホリウチ, シンバ・ツチヤ |
ハリウッド版シリーズ3作目は清水崇監督ではないため、駄作であろうと危惧していたが、しっかりと呪怨の世界観が描かれていた。
アマゾンレビューを見てみたら、かなりの酷評だらけで驚いた。純粋にホラー映画を楽しもうと期待していた人達にとっては、ハリウッド版は許せなかったのかもしれない。
本作では伽耶子の妹が登場したり過去の謎に迫る内容であったが、その割には伽耶子や俊雄くんの描写が希薄であったのは否めない。
舞台をシカゴに移して呪怨の世界観を引き継いでいくのは、かなり難易度の高い挑戦であった。
シカゴを舞台にイメージが固定化した定番のJホラーを展開していくのは、難しいことである。
過去作のイメージを崩さずに、さらに新しい要素を入れ込まなければいけない。
佐伯家の過去の惨事とシカゴでの現在の恐怖がシンクロしていくシーンが良かった。
伽耶子の妹役を演じたナオコは英語が堪能な上に美人で頭の良さそうな顔をした知らない女優だったが、なんと加山雄三の娘だったのか。
まさかの「カヤコ」ならぬ、「カヤマ」だったのだ。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』 列車内での密室ゾンビパニック。 優れたアイデアと人間ドラマに拍手! 監督:ヨン・サンホ 出演:チョン・ユミ, コン・ユ,マ・ドンソク, チェ・ウシク |
『新感染』は邦題で原題は『釜山行き』、どちらもダサイが「新幹線」とかけた邦題の方がインパクトはある。『ゾンビ・エクスプレス』とかベタベタなタイトルにしてしまいそうだが、興行的な事を考えたら『新感染』の方がイイ。
本作は列車内で起こるパニック映画であり、「ゾンビ」とは劇中では言ってないが、感染することで人が狂暴に襲いかかるパニック映画だ。アイデアが面白く、登場人物の人間ドラマ、人物の背景を描くことで、より魅力的な作品に仕上げていた。
主役のコン・ユが劇中で人間の心を取り戻していくシーンが良く、大沢たかおみたいな顔をしていたのも親近感が湧いた。
中でもカッコ良かったのがマ・ドンソクで、逞しさと頼もしさには男でも惚れる、角田信朗みたいな顔で良かった。
感染者に対して安易な銃ではなく、木製バットや拳ひとつで立ち向かう姿には感動である。
人は極限状態にまで追い込まれた時に、本質や本性が出る。
自分の命を張り愛する人を守る者、他者を見殺しにする者、自分だけが助かればいいと思う者、助け合いチカラを合わせる者、様々な人間模様が劇中で描かれ、まるで「YOUならどーする?」と問いかけられている気になる。
ゾンビ映画を見ていると「逃げる」よりも、自分も「ゾンビになる」方がラクだと思ってしまう。逃げ続けたり戦い続けるのは、想像を絶する程にストレスだ。だから真っ先に噛まれたい。
『トンネル 闇に鎖された男』 極限状態での神経と精神。 絶望の中でも希望を捨てない。 監督:キム・ソンフン 出演:ハ・ジョンウ, オ・ダルス,チョン・ソギョン, パク・ヒョックォン |
トンネルが崩壊して閉じ込められた男の物語で、幸運なのか不運なのか色んな展開が起こる。
人為的なミス等で主人公が最悪の事態になっていくのは不運だが、トンネルがどうしようもない程に崩壊しても奇跡的に生きていたのは幸運だ。
それにしても登場するヤツらがアホばかりで、かなりイライラする。
必ず足を引っ張るアホや、余計なトラブルを引き起こすアホや、間違った判断をするアホが出てきて、物語上仕方ないが、これ程ストレスが溜まることはない。
実際にこんな状況下になったら、正気の沙汰ではない。
絶望の中で、ずっと希望を捨てずに生きようとした(途中あきらめたが・・・)主人公は凄い。
昔、スタローンの『デイライト』というトンネル崩壊映画を観に行ったが、超人的なヒーローのスタローンが災害に合うのと一般男性が災害に合うのでは全然違う。
『デイライト』も名作だが、本作もオススメ。
『ヴィタール』 塚本監督×浅野忠信。 素晴らしき化学反応。 監督:塚本晋也 出演:浅野忠信, 串田和美, りりィ, 國村隼 |
塚本晋也と浅野忠信といえば、最近ではスコセッシ監督の『沈黙』で共演。
三池監督の『殺し屋1』でも共演していた。
本作は塚本晋也監督の作家性をふんだんに楽しめて、映像表現に魅了される。
交通事故によって記憶喪失になった浅野忠信が演じた役柄を演じられるのは浅野忠信しかいないと思える程に、独特な雰囲気と空気感を放っている。
塚本晋也監督と浅野忠信の素晴らしき化学反応が起こる。
二人が作品に関わるだけで、映画の質が上がるのは間違いない。
塚本晋也監督の映像表現は本当に楽しい。
撮影ひとつ編集ひとつで、映画の可能性が広がり、紡ぎあう物語が美しく融合するのだ。
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