韓国は今年2月に映画『パラサイト 半地下の家族』が米アカデミー賞4冠に輝いて、世界各国で韓国映画の観客動員記録を打ち立てた。
今年は韓国映画旋風が巻き起こると期待したが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、それどころではなくなり、韓国国内でも映画館へ出向く観客が激減。
3月の集客結果は映画振興委員会が2004年に全国チケット集計を始めて以来、史上最低の集客結果となってしまった。
映画の都ハリウッドを誇るアメリカでは、映画館はすでに閉鎖中である。
失業保険の申請者が過去最多にのぼるといわれていて、報道によると現在映画館従業員約15万名以上が職を失ったといわれている。
そんな中、全国シアターオーナー協会の団体NATO(National Association of Theatre Owners)が支援に向けて動き出している。
3月30日にはthe Pioneers Assistance Fundとともに、援助を必要とする映画館従業員に提供するため、先ずは240万ドルの基金を用意したと発表。
アメリカの映画制作現場ではスタッフの収入は月給制ではなく時給制がほとんどである。そのため、撮影が無ければ収入はまったく入ってこない。
ネットフリックスでは、自社の映画やTVシリーズの制作に携わったスタッフに、撮影中断期間2週間分の給料の支払いを約束した。さらに自社以外の作品支援としても約1500万ドルの基金を作って、失業中のキャストやスタッフの緊急救済に当てると発表。
日本では、まだ営業停止にはなっていないが、一部都市部のシネコン系列を中心とした映画館は、週末外出自粛を受けて休館にするなどの対策がとられている。
一方、日本のミニシアターの経営は他国と同様に窮地に追い込まれている。
多くのアート系映画館がクラウドファンディングを設立して、ネット上からの支援を募り、有料会員制を導入している映画館では積極的に会員募集を行うなどして、生き残りを模索中している。
もちろん映画館だけではなくて、ほとんどの仕事がピンチに追い込まれている。コロナによって、人が集まる場所に行けないとしたら、オンラインではないエンタメ業は成すすべがない。
先ずは生活が優先される中で、心にゆとりのない状況下ではエンタメを楽しむ余裕もない。
東日本大震災の時は、テレビ番組からバラエティー番組は放送されなくなったし、「人を楽しませる」行為が不謹慎であると自粛せざるを得ないムードになったものだ。
今、目の前に起きている非日常な現実を体験することで、僕たちは「当たり前と思っていた日常」がどれだけ幸せであったかを思い知らされる。
人が密集した場所へ行けないことはもちろんのこと、心に余裕があってエンタメを楽しむ気持ちになれる。
僕なんかはエンタメによって元気づけられてきた方なので、落ち込んだ時でもよく映画を観て元気を貰ったものだ。
今まで映画に貢献してきたスタッフたちが職を失っていくのは、本当に心苦しい。
誰のせいでもない、苦しい想いをしているのは皆いっしょ、そんな中で自分一人だけで抱え込んでいても仕方ない。
何も考えずに、平和な日常の中で映画館でゆっくり映画を観られる日が一日でも早く来て欲しい。
Photo by Augusto Oazi on Unsplash
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