前篇を観たので、『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を立て続けに観たのだ。
『ソロモンの偽証 後篇・裁判』 中学生裁判では残酷な展開にはならない。 柏木君というバカに振り回されただけ。 監督:成島出 出演:藤野涼子 板垣瑞生 石井杏奈 |
宮部みゆきが作家生活25年の集大成として、9年間にわたり連載して書き上げたミステリー巨編を映画化した『ソロモンの偽証』の後編。
前編同様『八日目の蝉』の成島出監督がメガホンを取る。
佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華といった実力派キャストが集結して、オーディションによって選出された生徒役たちも続投。
2015年製作/146分/G/日本
配給:松竹
被告人大出俊次(清水尋也)の出廷拒否により、神原和彦(板垣瑞生)は校内裁判の開廷のため大出の出廷に全力を尽くす。
浅井松子(富田望生)の死後、沈黙を続ける三宅樹理(石井杏奈)に証人として校内裁判に出廷するよう藤野涼子(藤野涼子)も呼び掛ける。
柏木卓也(望月歩)が亡くなった晩に、卓也の自宅に公衆電話から4回の電話があったことを涼子は知り・・・。
前篇を観たので、引き続き後篇を観ることに。
前篇が2時間、後篇は2時間半で「おいおい、なかなかの長尺やな」と普段なら観るのを躊躇するが、やはり後篇の展開が気になったのである。
学校内でいよいよ裁判が開廷されたが、特に意外性もなく、えぐい展開があるわけでもない。「なるほど」中学生が扱う裁判なので、そんなにキツイ話をぶっ込むことは出来ない。
ましてや中学生裁判で「殺人事件」だったという結末を迎えることになれば、強烈なトラウマを生んでしまう。
いきなり『金田一少年の事件簿』みたいな残酷な殺人事件を取り扱われても困るのだ。
だとすると大出君は無罪で、「柏木君の自殺だった」とのオチに向かっていくしかない。
自殺した柏木君、なかなかのクセ者で、「お前、勝手に死ねや!」と思わせてしまうのだから仕方ない。
わけのわからん哲学で屁理屈ばかり並べ立て、相手を責めて「自殺しちゃうぞ」と脅しをかける。こんな柏木君みたいなヤツとは真面目に付き合いきれない。
友人ならば「死んではいけない」と止めるのが当然ではあるが、柏木君みたいなヤツが相手ならば「どうぞ、ご勝手に」と突き放してしまいそうだ。
この中学校では「伝説」になっている裁判だというが、伝説になるほどではない。
柏木君というバカに、皆が振り回されただけである。
一番面白かったのは、担任教師の隣人女性がドアを開けた瞬間に瓶で殴打してきたシーン。
あのホラーをわざわざ描く必要があったのだろうか。
中学生裁判の中ではえぐい表現が出来ないので、裁判とは関係のない場所でショッキングな映像を放り込む必要があったのだろうか。
確かに強烈なシーンがないと、NHKの教育テレビみたいな作品に落ち着いてしまう危険性がある。
悪くはない作品で楽しんで観ることは出来たが、もっとスリリングな裁判と驚愕の真実を期待していた。
ミステリー小説の実写化作品をもっと観てみようと思った、といったところで「カット、カット」。
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