NHKで放送されていた岡本太郎の特撮ヒーローもの『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』を観たのだ。
『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』 岡本太郎の名言、奇獣との対決。 馬鹿馬鹿しさがイイ。 監督:藤井亮 出演:山口一郎(サカナクション) , 岡村渉 , 森野忠晋 , 小笠原皆香 , 川端英司 |
2022年7月19日(18日深夜)から7月30日(29日深夜)まで、NHK教育テレビジョンで平日深夜クロージング直前の枠で全10話が放送された特撮テレビドラマ。
タローマンは作中に登場する巨大変身ヒーローの名称。
〈TAROMAN〉(タローマン)は正義の味方ではなく、シュールでデタラメなやりとりで奇獣と戦う。
〈疾走する眼〉〈駄々っ子〉など岡本太郎の作品を造形化された奇獣と対峙する。
番組後半は山口一郎さん(サカナクション)が登場して、各回の〈作品〉と〈ことば〉について、太郎への愛を込めて語る。
全10話で一話あたり5分という小気味のイイ展開で繰り広げられる岡本太郎の芸術を特撮に変換させた「なんだ、これは!」な物語。
5分間の中にドラマパートとミニCMとトークパートが詰め込められ、おまけに頭にこびり付くような主題歌まで盛り込まれている。
タローマンも秀逸ながら、岡本太郎の作品をモチーフにした奇獣たちが良く出来ているのだ。
岡本太郎の名言と奇獣との対決を組み合わせ、色んな物語を創作する工夫が随所に見られるのである。
古き良き昭和時代の特撮ヒーローものを彷彿させ、ブラウン管テレビの4:3のスタンダードサイズで撮影されたこだわりも面白い。
役者陣の演技や話し方も、いかにも昔のドラマ的で懐かしい気持ちにさせてくれる。
ドラマパートが終わると現代に設定されたトークパートが始まり、サカナクションの山口一郎さんが幼少の頃に見た「タローマン」の思い出を語り出す。
当時購入したタローマングッズ等を紹介しながら、架空のエピソードをあたかも実際に体験したかのように話すのも馬鹿馬鹿しくてイイ。
中でも「タローマン」に登場していた少年隊員の子役が、50年の時を経て山口さんの前に現れるくだらなさは手が込んでいた。当時のことを山口さんが尋ねたら「9歳の時のことなんで、殆ど覚えていない」と何の実りのないトークも意味不明(何しに出て来たんや!)であった。
それにしても岡本太郎の芸術作品が、特撮ものの娯楽作品で楽しめるとは思いもしなかった。
「芸術は爆発だ!!」と訴えかけてくる作品であった、といったところで「カット、カット」。
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