清水崇監督の最新作『ミンナのウタ』を観てきたのだ。
『ミンナのウタ』 非の打ち所がないホラー映画。 出演者全てが良い。 監督:清水崇 出演:白濱亜嵐 , 片寄涼太 , 小森隼 , 佐野玲於 , 関口メンディー , 中務裕太 , 数原龍友 , マキタスポーツ |
「GENERATIONS from EXILE TRIBE」のメンバー7人が本人役で主演を務めたホラー映画。
監督は『呪怨』シリーズや「恐怖の村」シリーズの清水崇監督。
マネージャー・凛役で早見あかり、探偵・権田役でマキタスポーツが共演。
2023年製作/102分/G/日本
配給:松竹
ラジオ番組のパーソナリティを務める「GENERATIONS」の小森隼は局の倉庫で、「ミンナノウタ」と書かれた一本の古いカセットテープを見つける。
その後収録中に不気味なノイズと少女の声を聞き、小森は数日後にライブを控える中で姿を消してしまう。
事態の解決を急ぐマネージャーの凛は元刑事の探偵・権田に捜査を依頼して、権田はメンバーへの聞き取り調査を開始。
小森が妙なメロディが頭から離れないと話していたこと、メンバーたちが少女の霊を目撃していたとの証言を得て、リーダーの白濱亜嵐を加えた捜査で少女の正体を突き止める。
しかし、彼女の呪いのメロディによる恐怖の連鎖が始まってしまう・・・。
アイドルを主人公にしたホラー映画と最近の清水崇監督の作品の掛け算は、誰もが不安を募らせ観に行くことを躊躇してしまうものだったのではないか。
しかし結論から申し上げると、本作は非の打ち所がない大傑作のホラー映画だった。
やはり面白い作品の前では単純にひれ伏すしかない。「清水崇監督、すみませんでした!!」、そう頭を下げて自分を恥じる。
作品にケチをつけようと思えばツッコミどころもあるだろうが、本作の恐怖体験は水を差すようなくだらない指摘や屁理屈は不要なのだ。
アイドルグループGENERATIONSのことは全然知らなかったが、彼らの演技力の高さには驚かされた。
不自然な演技をせず過剰にならずに、何の違和感もなくナチュラルに観ることが出来る。
演技のヘタなアイドルがホラー映画で「ギャー、ギャー」騒いでいると非常に見苦しく不愉快だが、「GENERATIONS最高!カッコイイ!!」と素直に思ってしまった。
彼らの演技力の高さに驚いたことと、探偵役を演じるマキタスポーツが非常にイイ味を出している。
GENERATIONSとマキタスポーツの対比がバランス良く映し出されているのだ。
何と言っても「さなの母親」役が不気味でめちゃくちゃ怖い。同じシーンを何度も繰り返す緊張感溢れるシーンと、急に声を上げてカメラに迫って来るシーンは小便ちびるレベル。
エレーベーターで出会った不気味な女性も良い。
怪奇現象を巻き起こした幽霊の「さな」も最高!貞子や加耶子という髪の毛の長い女性がJホラーの定番でアイコン化されてきたが、ここでショートカットの中学生を恐ろしい幽霊として登場させた。
俊雄くんは『呪怨』と同じ名前の男の子だが、これは清水崇監督の遊びゴコロだろうか。
しかも30年前との設定も良い。現代の中学生よりも、過去に遡って怨念の謎に辿り着くカタチも物語に引き込まれる。
もちろん一本のカセットテープが呪物として扱われることで現代の中学生の設定としては作りづらい。また現代ではいくらでも自分の音楽をネット上で多くの人たちに届ける手段がある。カセットテープを呪物として扱った場合、必然的に時代背景は30年前に設定される。あのどデカいカセットデッキも必要になる。
褒めることばかりで非の打ち所がない本作は、自分の中で非常に大事な一本となった。
久しぶりにJホラーで恐ろしい快作を観た!、といったところで「カット、カット」。
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